ヒーローの君へ［特撮 反応集］

・ ページ3

〈花家大我〉

「……さみぃ。」隣でマフラーに顔を埋める長身の彼。
『あ、甘酒売ってるよ。』
「お前が飲みたいだけだろ」
図星を突かれて戸惑う私を横目に見てふはっと笑いながら売り子に2つくれ、と声を掛ける。
『去年も大変だったけど今年はどんな年になるのかな？』
「んなもん過ごして見なきゃ分からねぇだろ。」
う、この人は正論という正論を突きつけてくる…なんて思いながら門をくぐった途端、
"HappyNewYear！！！！"
と辺りの人々が口々に言い放つ。慌ててスマホを確認すると時刻は0:00を指していた。
「あ、明けちまったな。年。」
『……もうちょっとムードある年明けが良かった』
「てめぇ…帰ったら覚えておけよ…」
目線をこちらに落とし苦虫を噛み潰したような顔をしているのを余所に新年の挨拶を交わす。
『あけましておめでとう、今年も末永くよろしくね？』
「プロポーズなのか新年の挨拶なのかどっちかにしろ」
『嫌だった……？』
「……嫌ならこうやって一緒にいるわけねぇだろ。A」
そう言われて無造作に握られる手は温かかった。





〈九条貴利矢〉

「おっ、大吉〜」『げっ……』
隣で引いたおみくじを見てにこにこ喜ぶ彼と正反対の私。
「なにAちゃん新年早々ノってないじゃん、あっまさか〜？」
ひょいとおみくじを取り上げられあちゃ〜と貴利矢さんは困った顔で言う。
「すげぇ見事な凶だ。自分初めて見たかも。」
『そんな事言われても嬉しくないんだけど……』
よりによって恋愛運もだめだめ。"ひたすら待つのみ。相手が行動を起こすまで待て。"と記されている。今年こそ頑張って想いを伝えようと思っていたのに。
それに待っていたら日が暮れそうな相手なんだよな〜なんて思いながら隣を見るとパチリと目が合って困惑する。
「どうしたの、そ〜んなに見つめちゃって」
『や、別に……』
悟られるな、彼はよく私の考えていることを見抜く。これだけは……これだけは悟られてはならない！
なんて考えながらふいと目を逸らそうとすると顎を掴まれて強制的に目が合う。
「Aちゃん、分かりやすすぎ。」
今年の自分、期待してて？そう耳元で呟かれ赤面したのは言うまでもない。

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