ヒーローの君へ［特撮 反応集］

・ ページ17

〈桐生戦兎〉

『ロングコートの高身長イケメンだぁ〜？』
友人に今噂になってるよ？ほらあそこ、と言われ窓を覗くとマシンビルダーに寄りかかり仮眠をとっている様な物理学者が見えた。

｢やっと来たか、今日も学生らしくお勉強してきましたか？Aさん？｣
『迎えくるなら連絡して頼むから！噂になってるよ戦兎さん！？』
｢俺？何で？｣
こういう時だけキョトン顔をしこちらを見据える鈍感な彼にうぐぐと抜かしつつお迎えありがとう！と放ち後ろに乗ろうとした瞬間ちょっと待った、と腕を掴まれる。

｢まさかA、嫉妬してたりする？｣
図星を突かれて戸惑う私に彼の口角が上がっていくのを感じる。
その瞬間ふわりと彼のコートに身が隠れ、気づいた瞬間軽めのキスを落とされる。
ここが外であるということ、彼らしくない行動に驚きと羞恥心を覚えながら口を抑えて彼を軽く睨む。

｢物欲しそうな顔してるあんたが悪いんでしょーが。｣
『そんな顔してません…！』
｢ほらほら続きは帰ってから幾らでも応えてあげるから。行くよA。｣

そう私を笑いながら宥めて跨る彼に続きなんて求めてない！と思いながら軽く小突いてヒーローの背中に身体を預けた。




〈黒鋼スパナ〉

｢疲れているように見えるが大丈夫か？｣

課題漬けでほぼ意識がないまま早く帰宅して寝ようと外に出たら聞き慣れた声が降って来る。
｢少し用事があってついでにと思ったんだ、また徹夜で課題をしていたのか？｣
『やっぱバレちゃいますよね〜…眠気がすごくて』
お前はまた…というようなオーラを纏う彼に苦笑いをしながら足を踏み出した瞬間視界がぐらつく。
やばいと思ったその時がしと身体を掴まれて暖かい体温を感じた。
｢無茶しすぎだ。｣
そこがAの長所でもあるんだがなんて零しながらふわりと私の身体をいとも簡単に持ち上げる。
『待ってまだ学校の近くですし恥ずかしいです、私大丈夫なんで…！？』
そう言い訳をする私の口を一回り大きい手で塞がれる。
｢うるさい、違う形で口を塞ぐぞ。｣
私が満更でもなさそうな顔をしていたのか、こちらを見て直ぐ顔を背ける彼、優しく下ろされ羽織っていろとでも言う様に黒ジャケットが肩にかかる。
｢しっかり掴まってろ｣
おずおず彼の黒シャツを掴むも手を掴まれてぐいと彼のお腹まで持ってこさせられ抱き締める形になる。
『スパナさん……？！』
｢お前が落ちたら元も子もないだろ。これ位が丁度良い、俺から手を離すな。｣

不意にきた真剣な台詞に胸が熱くなり抱きしめる手に力を入れた。

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