ある兄弟の物語 4 (ページ43)

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智洋side

崇裕に迎えに来てと言われた場所がまさかの警察署。

きっと2人が何か警察沙汰になることをしたんやろうな。
……2人がっていうか流星が。

智「崇裕〜」

崇「おぉ、結構早かったな」

智「道空いてたから。
　警察署って、一体何があったん？」

崇「流星が誘拐されそうになって」

智「誘拐！？」

あの怪しい女！？

崇「おん。母親に騙されてついてったらしい。
　で、その人が最近噂になっとった女なんやって」

取り返そうと思っとったってこと？
はぁ？今更何やねん！虐待までしとったくせに！！

俺らの大事な弟に何してくれとんじゃごら！！

智「全員怪我してない？」

崇「大丈夫、コイツは若干熱が高いかな」

風邪引いとるのに…無理し過ぎや…。

智「流星、運転中やけど俺とお話できる？」

ここはしっかり言っとかなアカン。
命に関わることやし、怪我なく帰って来れたのがどんだけ
運がよかったことか考えてもらわな。

流「おん…」

智「流星、何で誘拐されたん？
　今日は1日雅紀くんの看病する言うてたやん。
　外に出てないはずやろ？」

流「にーにの看病してたらピンポンがなって…。
　開けたらお母さんがおってん。

　最初は誰か分からんかったんやけど…。
　 ………たかの友達言うから、ついてった…」

…完璧に騙されとるな。

崇「俺にあんな友達おらへん」

智「流星、よく聞いてな。

　世の中にはな、いい人ばっかりやないねん。
　簡単に人を騙して命を奪う人もたくさんおる。
　
　今回は雅紀くんが助けてくれたんやろうけど。
　もしかしたら大怪我だけじゃ済まん可能性やって
　あるんやで？」

流「ハサミ…向けられた…泣」

智「やろ？やから約束して？
　まず、ピンポンが鳴っても2人しかおらんかったら
　絶対に出たらアカン。

　それと知らん人に用事もないのに話しかけられたら
　すぐに逃げること。
　ついて行くなんてもってのほかやで」

流「分かった…泣」

智「風邪やのに助けに来てくれた雅紀くんにちゃんと
　感謝するんやで」

流「ｸﾞｽｯ…ごめんなさっ…泣」

崇「怖かったな、俺も1人にさせてもうたから」

智「はぁ〜…でもほっんまよかったわ！全員無事で！」

怪我なく全員か無事やったって事実がほんまに嬉しい。