初めまして ページ1
ー坂田side
「本日からお世話になります。かえでです。」
「……そ、」
ごろりと寝返りをうち、新しく来たであろう人に背を向けた。
身分など気にしないでいてくれた彼が死んでからというもの、何も手をつける気が起きない。
僕が何も指示をしないからか、はたまた王を見るのが初めてだからか新しく来た彼女……かえでと言ったか。は一切動こうとはしなかった。
「…新しく来たメイドさんやろ？メイド長からはなんて言われたん」
そう聞くと一瞬言葉に詰まったがハキハキとした様子で「メイド長からは王様のお加減を伺って欲しいと承っております。」と答えた。
「僕は元気やから他の仕事やっといで。」
「元気なら執務室にて仕事が待ってると。もし元気がないのであれば挨拶と共に散歩に。と承りました。」
「…96猫め…」
ぽつり、と友達関係でもあるメイド長の名前を呼んだ。
すると先程まで無表情だった彼女の顔が少し驚いたような表情になった。
「……96猫さんと、親しいのですね、、」
「ん？まぁ…よし。じゃあ散歩行こうか」
「え？」と放心状態の彼女に「元気がないなら散歩やろ？ほら行くで」とニカッ、と笑う。
「かしこまりました。すぐに手配致したします。」
そう言ってささ、と部屋から出た彼女はきっとこれから僕が飲む水や僕が着るコートを用意してくれているのだろう。
「さて、準備できるまで少しゆっくりするか〜」と軽く伸びをしながら窓を開けたのだった。
「……まふを殺したくせに…。」
よくも笑えるよね。
そんな言葉なんか聞こえるはずがなかった。
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作者名：きなこもち | 作成日時：2022年1月21日 3時
