おれ達はここにいる ページ13
モンブラン・クリケットは最高の笑顔を見せた後、膝から崩れるように座り込んだ。
サル山連合軍のマシラと、ショウジョウは、おやっさんの体調を心配したが、違っていた。
モンブラン・クリケットは、友である”麦わらの一味”が無事なのかどうかを、ずっと心配していたのだった。
自分の夢や先祖の400年の想いよりも、友の安否が気がかりで、それが彼等の夢だったとしても、自然の大災害を利用した、安全の保証などまったくない旅に友を案内したことをずっと心配していたのだ。
「あいつら・・・無事でよかったぜ・・・」
そう言ってモンブランは、ポロポロと涙をこぼして安堵した。
サル山連合軍達は、そんなモンブランの優しさを、優しい笑顔で見守っていた。
ルフィはモンブランを想い、モンブランはルフィを想っていた。
きっと、カルガラとノーランドも、互いに互いを想いあっていたことだろう。
ノーランドの最大の無念は、友の行方がわからなくなったこと、友の安否が知れなかったことだった。
自分の境遇よりも、自分の身よりも友の身を案じる癖は、400年後の子孫になっても変わらない。
その無念が400年の時を経て、子孫の中で”安堵”にかわった時、やっとノーランドも心から笑えたのかもしれない。
鐘は何度も何度もその音を響き渡らせながら、海雲の中へ沈んでいった。
動力を失った方舟マキシムと、失神した神・エネルもまたまっさかさまに雲の下へと落ちていった。
去る都市の栄華を誇る"シャンドラの灯"
戦いの終焉を告ぐ"島の歌声"
400年の時を経て鳴る"約束の鐘"
浮寝の島の旅路は長くも、遠い記憶は忘れ難し
かつて人はその鐘の音に言葉を託した。
遠い海まで届ける歌に、誇り高い言葉を託した。
「おれ達はここにいる」と。
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作者名:WinWin | 作成日時:2021年4月9日 0時