ルフィの成り代わり 2【ワンピース】 (ページ5)

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暫くペンを見つめていた彼女は、静かにペンを床に置くと、
手でキリバチを握った。
アーロンは、キリバチを振り切って彼女の首を飛ばそうにも、ピクリとも
動かないことに気付いた。
そればかりか、彼女は素手でキリバチの歯を握り潰したのだ。

「つかう？」

彼女の怒りも頂点に達した。

キリバチの刃を握り潰した彼女は、アーロンに聞いた。

「お前、あいつを何だと思ってる」

「下等種族だが、優秀な測量士よ。ナミにはこの部屋で永遠に海図を描かせ続ける。
メシを与え、好きな服も買ってやる、"生きる"のに事欠くことは何もねェ、
おれ達は、仲間なんだ。」

その答えに、彼女は立ち上がって、ナミの机を蹴り飛ばした。
勢いで机はアーロン城から落下していく。
その後も、彼女はアーロンではなく、ナミの部屋にある物を片っ端から蹴り壊しだした。
8年間血が滲む思いで描かされ続けた海図も、今は紙くずとなって散っていく。
次から次へと壊れては落ちてゆく、自分の8年間を見て、ナミは涙が止まらなかった。
あの部屋だけが自分の居場所だった。
8年間、あの部屋でくる日もくる日も孤独と闘いながら生きてきたのだ。
それが、今、壊れてゆく。

「ありがとう・・・」

大事な海図を破壊されたアーロンは、彼女の肩に噛み付いた。
サメの歯が彼女の体に深く食い込み、一瞬気が遠のきそうになる。
だが、彼女の怒りは止まらなかった。

【魚人がどう偉いとか、海図とか、事情とか、そんなことはよく知らねぇけどな！！！こんな部屋があるから、いけねぇんだ！！！居たくもねぇ、あいつの居場所なんて、おれが全部ぶっ飛ばしてやる！！！】

2度目のウソ。