僕のモブ友。【時透無一郎】

18話 ページ22

時透無一郎side

　昨日は兄さんに背中を押してもらったと思ったら、帰って母さんたちの話のネタにされた。 勿論母さんと兄さんはニヤニヤして根掘り葉掘り聞いてきた。

「その子の笑顔が可愛かったのね〜♡
　お母さん気になるわ♡今度連れてきてね」

「無一郎、この前俺のプリン食べた罪だ。」
　(↑2日前の出来事の恨み)

　ていうかそれは関係ないよね兄さん。
　僕は兄さんに相談したことをちょっぴり後悔した。


＿＿＿＿＿＿＿＿＿そして翌日。

「それじゃ。」

「ああ。せめて変な失態だけは起こすなよ。」

　そう言って兄さんと別れた。
　里芋組の教室へと向かう。どうやってAに挨拶しようか、そう思いつつ教室に入った。

「……」

　Aが居ない。まぁ、 来る時間は毎回同じって訳では無い。何時もならおはようって言っていた。

　(でも鞄が横に掛かってるってことは、僕より早く着いてたんだ)

　ちょっと残念な気持ちもありながらも、自分の席の椅子を引いた。すると、ポスンと何かが落ちる音がした。確認すると昨日Aに貸した折り畳み傘と＿＿＿＿＿＿

　椅子の上には透明なラッピングに丁寧に包まれたお菓子。そのお菓子に何か手紙が添えられてあった。


……………………………………
　
　時透さんへ

　昨日は本当にありがとうございます。
　それに、迷惑をかけてしまってごめんなさい。
　バレンタインでもなんでもないんですけど、
　昨日の感謝の気持ちを込めてお菓子を作りました。
　お口に合えば幸いです。

……………………………………


「時透くん、おはよう！」

「えっおはよう。……なんだ、禰豆子だったんだ」

　後ろから元気な声がしたと思ったら禰豆子がいた。
　手に持っていた手紙をサッとポケットに入れると、もう片手に持っていたお菓子を禰豆子が見ていた。

「あれ、時透くんの持ってるそれってマドレーヌ？」

「あ、これ？これってマドレーヌって言うんだ」

「うん！それマドレーヌって言うの！……なるほど。」

　マドレーヌというお菓子をまじまじと見たかと思えば禰󠄀豆子は意味深な言葉を言った。

「え、何かあるの？」

「うん！マドレーヌには“仲良くなりたい”って意味が込められてるんだよ！きっと時透くんに作った子は、もっと仲良くなりたいって思ってるのかも！」

　ニッコリ笑顔の禰󠄀豆子はそう言うと、別の友達に呼ばれて去って行った。

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