好き、嫌い、普通。 (ページ6)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:953 hit

甦生、ページ6

変な少年。

そんな風に思っていた。

初対面で嫌いだと言ってしまったことは戸惑いを与えたかもと思ったが、申し訳ないとは思わなかった。

実際に嫌いだから。

仕方ない、そう言うのは一瞬だったが、理由を聞かれてから答えるまでに私は一年掛かってしまった。

それだけ、彼は分かりにくく、厄介であったのだ。

しかも、その一年で私はそれなりに彼を嫌いではなくなった。

もっとストレートに言うと、それなりに好きになった。

なぜだか分からないが拒めなくなった上に、彼の前で素を出してしまうのだ。

彼と離れるのが苦しいと感じれるくらいには、彼のことが好きなのであった。

私が小学校を卒業して中学校に入る時、始めてスマホを買ってもらった。

嬉しくて、どうしようかとか色々舞い上がっていた時にふと思い出した事が有った。

二年ほど前に卒業した人。

引き出しを漁ってみれば予想通りに短い数字が有った。

彼の電話番号で間違いなくてよかった。

それから少ししてから新しい制服に腕を通して、ピカピカのローファーの踵を鳴らした。

門を通った二十分後の人生初のホームルームで先生に話が長いと言って、その直後の研修で人に水をぶちまけて、その後にも色々やらかして学校中の話題になってみたりした。

話題の生徒がいる、となると人が群がるのは当然だがまさか自分の知る人間が先輩として、それも学校中の人気者として現れるとは思ってはいなかった。

同じ学校だということすら知らなかった。

お互いに何もいっていなかったのだから当然のことではあったが、目を丸くした彼、精市君に驚く人でいっぱいになった。

再会してすぐに、勧誘されるとも思っていなかった。

テニス部のマネージャーにならないか、それだけなのかと問いたくなる。

やり取りは再開したばかり、長らく会っていなかった友人に対しての第一声がそれか、と言いたくなるがまぁそれでいい。

堅苦しくしてしまうと何を話せばいいのか分からなくなりそうだし、それでよかった。

とはいえ、この重苦しい雰囲気は何なんだろう。

よく分からないけど私の所為だということは分かる。

そりゃそうだ。

半問題児が学校１の人気者にたいして尊大な態度をとりまくる上に、入部してこようとしているんだから。

まぁ、空気も凍るわな。