蝶屋敷と神崎アオイ ページ6
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それから、勢いのまま冨岡の家から離れた私が真っ先に向かったのは、無論自宅…ではなく。蝶屋敷だ。ご察しの通りしのぶに会いに行くのは毎日の日課でもある。何故そんなに通うのかって、それは私の癒し。所謂、オアシスだからだ。
…と、いうか。
正直なところ今の私のイライラを親友に沈めてほしいというのが本音だ。なんなら彼女の薬で、何とかならないものだろうか。
うーーん、と思考を巡らせ蝶屋敷の前をうろうろとしていると、私の目の前にはアオイちゃんがいた。あら、吃驚。気づかなかった。
「こんばんわ喰柱様。いらしていたのですね。」
相変わらずテキパキと単調的に話すアオイちゃん。やっぱり蝶屋敷の子たちは礼儀正しくて皆いい子だなぁ。と、思わず頭を撫でたくなる衝動に駆られたが我慢した。
……セクハラとか訴えられたらたまったものじゃないからね。
「うん、こんばんわアオイちゃん。しのぶ、いるかな?」
「しのぶ様ですか。現在は鬼狩り任務遂行中の為在中しておりません」
「まじか。」
何で肝心な時にしのぶが居ないんだよう…!と心の中で涙ぐむ。が、勿論表情にも行動にもださない。誰でも後輩の前では完璧な柱でいたいものだと私は思うんだよね。
「ならカナヲちゃんは?…実はお菓子持ってきたんだよね。みんなで食べようと思って。」
ほら、と自宅から持ってきたカステラや三食団子、桜餅、お萩、善哉、といった少しお値段のする和菓子を見せる。少しだけ奮発したんだよね、と笑ってみせるが、一方のアオイちゃんは表情は一切変えず、
「お気持ちは嬉しいですが、いただけません。」
と、きっぱり断った。
「ええ!もしかしてお菓子とか苦手だったりするのかな」
「いいえ。特にはありませんが…こんな高価なものいただけません。」
「気にしないでいいのに!美味しいから大丈夫だよ!」
「……喰柱様がそこまでおっしゃいますのなら…」
渋々頷いてくれるアオイちゃんにやっと折れてくれた。という謎の達成感と満足感に包まれながら例のお菓子を渡そうとすると、アオイちゃんは何やら拳を突き付けてきた。
「せめてものお金を払います。」
「………。アオイちゃんってそういうところあるよね。」
結局この争いは、大人げなくも私が全力で
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餅蛇(プロフ) - 氷翠さん» わわ!!嬉しみの翁此処にありけり…!(?)そう言ってくださる貴方様が私も大好きです結婚しましょう!() (2019年11月24日 13時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
氷翠 - あぁ・・・好き・・・(語彙力は消え去りました)大好きです! (2019年11月11日 21時) (レス) id: 3797fcfa5c (このIDを非表示/違反報告)
餅蛇(プロフ) - 桜餅さん» 一応小さく概要欄に注意書きをしていましたが、こちらの表記不足だったかもしれません。申し訳ありませんでした。 (2019年10月29日 17時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
餅蛇(プロフ) - 桜餅さん» ご指摘有難う御座います。私も一度此の作品を投稿する時、冨岡さんは無口だとか口下手だとか、言葉足らずだとかという点は考え、直そうかなと試みたこともありますがこの小説は冨岡さんが少し可笑しく愛らしい様にしたかったので固定にするつもりです。 (2019年10月29日 17時) (レス) id: f0afa3b22f (このIDを非表示/違反報告)
桜餅 - 冨岡さんは、もっと口下手なんやい! (2019年10月27日 19時) (レス) id: df18c2f2ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:餅蛇 | 作成日時:2019年10月20日 19時