* ページ31
.
「ここまで来れば大丈夫だろう。」
抱かれたまま連れてこられたのはとある家。
久しぶりに足が地面につく。
私を抱いていた男の人は作戦成功、と白髪の人とハイタッチを交わしていた。
「あの……助けていただき、ありがとうございます。
それで……その……。」
あなた方は何方ですか。
その言葉を遮るように、
「ねぇ、A。」
彼は私の名前を呼んだ。
「覚えて、ない?」
男にしては高めの声。
そして、その長い指で仮面をとった。
仮面の下から出てきたのは、見覚えが無い青年。
でも、
幼さを感じさせる紅い瞳も、
隣に居る青みがかった癖が強い髪も、
どこか見覚えがあった。
あぁ、そうか。
自然と涙が溢れてくる。
「またっ………会えたねっ……!!
.
そらるっ……まふまふっ……!!」
耐えられなくなり、彼らに抱きつく。
あの逃走劇が失敗してから約10年。
彼らは約束通りに、また私の元に会いに来てくれた。
「……10年降り、か。」
「二人ともっ……大きくなったね!
前は私と同じくらいだったのに……。」
「成長しないと困るだろ。」
今となっては頭1個分くらい違う身長のそらるが頬をかく。
一方のまふまふは、ほんのりと赤く染まった頰のまま微笑んでいる。
「で、これからどうしますか?
本当にAを盗み出しちゃったわけですけど。」
そうだ。
今の私は誘拐された身。
これから警察が血眼になって私を探すだろう。
「俺らももう後戻りできないな。」
「・・・ええ。」
「俺らとしては、一緒に来て欲しいんだけど・・・。」
そらるもまふまふも、自分の身を削って私のことを助けに来てくれた。
「それとも、帰る?」
だから。
「Aは、どうしたい?」
だから、私は……。
39人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カシオペア(プロフ) - クロクロさん» ありがとうございます。しかし、これは完結した募集企画なので…。申し訳ありません。また挑戦しようと思っていますので、その時はよろしくお願いします! (2017年10月14日 14時) (レス) id: 972c361b83 (このIDを非表示/違反報告)
クロクロ - 私、この作品大好きです!!!更新頑張ってください!!!逆立ちして待ってるんで!!! (2017年10月14日 13時) (レス) id: a752c4b181 (このIDを非表示/違反報告)
カシオペア(プロフ) - ゆきんこさん» ありがとうございます。お楽しみいただけたのなら、幸いです。 (2017年10月12日 21時) (レス) id: f336227406 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - すごい面白かったです…!!次も楽しみに正座してまっときま((( (2017年10月12日 17時) (レス) id: c934708cbf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ