最後の雨

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空が白み始めた頃
隣に潜り込んで、私を抱き寄せる感覚で目を覚ます。

隣からはゆうたくんの香水の匂いと、少しの外の匂い。



「、ん、おかえり、」


ゆた「あ、ごめんね、起こしちゃったね。」



外から帰ってきたゆうたくんの身体はひんやりしていて
気持ちよくてすり寄ると嬉しそうに笑った。



ゆた「甘えただね？」


「んー…寂しかったから、」



そこまで口にしてすぐ後悔した。

ぱっとゆうたくんの顔を見ると、眉を下げて困った顔。



「あ、」


ゆた「ごめんな、マジで、」



忙しいのはみんなが活躍している証拠だから、
誰も悪くないから、
ゆうたくんに謝られる度少し寂しくなる。

もう私だけのゆうたくんじゃない。
たくさんの視聴者の方が動画を待っていることは分かっている。


だからもっと一緒にいたいとか
私だけのために時間を作ってとか
そんな我儘は心に仕舞って
出てこないように気を付けていたはずだったのに。



「私こそごめん、
　ゆうたくんには好きなこと続けて欲しい。」


ゆた「有難う、A。」



私に軽いキスを落として
風呂入ってくるわ、と立ち上がった彼を見送ったあと
一人反省会。


大好きな彼を困らせる訳にはいかない。


本当は、もっと一緒にいたいんだよ。
動画だけじゃなく、私のことも考えて欲しいんだよ。


そんな思いをぐっと飲みこむと、苦しくなって涙が零れた。

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