27 ページ27
「…っ、自分でできるってば…っ！」
「たまにはこういうのも良いでしょう？」
ぴったりと俺を抱きしめたまま、カズがおかゆの乗ったスプーンを俺の口元に差し出す。
何を言っても無駄だと悟って口を開けば、ちょうど良い塩加減のそれが口内に流れ込んできた。
…なんか、今日のカズ変だ。
いつにも増して甘いっていうかなんというか…。
頑なにスプーンの主導権を離してくれなくて、ムロが用意してくれたおかゆを食べ終えて。
薬も飲んだ俺はカズに促されて横になった。
隣には優しい表情をしたカズの顔。
寄り添うように俺の隣で寝転んだカズがぽんぽん、と胸のあたりを撫でるリズムに自然と瞼が重くなる。
「カズ…どこにも行かない？」
「大丈夫、お傍にいますよ」
このまま寝て、目覚めたらカズがいないんじゃないかって心配していた俺の身体から力が抜ける。
…大丈夫、カズは嘘は言わない。
「ふふ、姫様眠そう」
「ん……」
せっかく来てくれて一緒にいれるのに寝ちゃうなんて勿体無い。
そう思うのとは裏腹に、どんどん身体が気だるい波に飲み込まれていく。
「…おやすみ、姫様」
優しさに満ちたその声に、俺はカズの服をぎゅう、と掴んで微睡みに身を委ねた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 302人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきち - 読んでいて、とてもとても楽しかったです！！！！最高過ぎます！！次の話が楽しみです。素敵な話をありがとうございました(#^.^#) (2020年5月7日 21時) (
レス) id: 2a967ab49d (このIDを非表示/違反報告)
黒猫さんた(プロフ) - この作品大好きなのでまた続きを読むことができて本当に嬉しいです…！このままみんなで一緒にいることはできないんでしょうか…？まだまだ続きが気になりますが智帆さんのペースで頑張ってください！(*≧∀≦*)応援してます。 (2019年1月15日 13時) (レス) id: bd1adb9f7a (このIDを非表示/違反報告)
UsuiSG(プロフ) - 誰を選ぶのか、難しいね〜(ﾉ≧▽≦)ﾉ皆いい男よ〜( *´艸) (2019年1月7日 17時) (レス) id: 22b728c814 (このIDを非表示/違反報告)
智帆(プロフ) - UsuiSGさん» わぁぁこちらにお返事すっかり見落としていて申し訳ありません(;_;)1ヶ月も経ってしまいました… ようやく私事が落ち着いてきたので、ぼちぼち更新していけたらと思います。 (2018年2月23日 0時) (レス) id: 1e469aed4f (このIDを非表示/違反報告)
UsuiSG(プロフ) - 何だか、ヤフー認証してたんですが、ヤフーアドレスが急にアクセス出来なくなって、パスワード入れても何してもダメで(ToT)無料会員だからどうにもならず、諦めて新しくしたんです(^_^;)色々学びましたです。はい(_ _) (2018年1月22日 20時) (レス) id: 22b728c814 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：智帆
| 作成日時：2017年7月3日 22時
