どれだけアピールしても好意に気づいてくれない件【五条悟】

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五｢ただいま｣


『お帰りなさいませ』




ポケットに入っている硝子から貰った紙をぎゅっと握りしめる。
今はまだあの作戦を決行する時ではない....と思う。

傑と硝子曰く、小さなことでも気づいて褒めてやると良いらしい。


目の前で俺の夕飯を並べているAをガン見してどこか変化がないかを調べる。


ネイルをしているわけでもないし髪を染めたり厚化粧をしているわけでもない。


まさしく"いつも通り"のAだった。


だが一か八かで聞いてみよう。



五｢A、なんか化粧変わった？｣



なんか変わってろと願いながら返事を待つ。
するとAは顔を輝かせてこう言った。


『そうなんです！前に買ったいつもよりちょっとお高めのチーク今日開けてみたんですよ！気づいてくれるとは思ってなかったです。嬉しいです』



.......よかったぁぁぁぁ


思わず安堵の息を漏らしてしまった。


確かによく見ればいつもより血色がいいようにも見える。


こんなん普段の俺なら絶対気づかねえな。




だがまぁとりあえずこの作戦は無事終了した。
Aもさっきよりルンルンで夕飯の用意をしているから成功だろう。


俺は携帯を開き、傑と硝子にメールで親指を立てた絵文字だけを送信した。

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