１１９「歪む」 ページ45
あんまり焦ってなさそうだけど、日吉くんに何かあったら大変だ。
「それじゃあここにいない滝さんや鳳くんは？」
宍戸「あいつらは他のところで探してる。テニスコートにいると思ったんだけどな」
…なるほど。だからここに来たのか。
芥川「それでここに近づいた瞬間跡部がA？って言うからここに来たんだC」
「そっか…。私も探してこようか？」
跡部「お前は危ない。早く帰ることだな。」
「でも…。…じゃあ、駅まで帰る途中に見つけたら連絡するよ。」
少し黙った跡部は考えると言った。
跡部「…わかった。そこまで言うなら頼む。だが、見つからなかったら素直に帰れ。分かったか？」
「うん」
言い方はキツめだけどよく聞くと凄い心配してくれてる。
…無意識なのかな。
✼
…どうしましょう。
駅前の自動販売機の横のベンチ。
…気のせいだろうか、日吉くんがいる。
「…日吉、くん？」
下を向いている氷帝生にそっと話しかけると、バッと顔を上げた。
日吉「A…さん？…どうしてこんなところにいるんですか」
ああ、やっぱり日吉くんだ。
分かりにくいけど、ほんの少し顔が悔しさか何かだろうか。歪んでいる。
「…皆、探してるよ。…どうしたの？」
日吉くんの横に座ると、私は彼の機嫌を伺いながらも聞いた。
言いたくないならいい。まだ帰りたくないならいい。私は彼のそばにいるだけで今はいいはずだ。
2.3分しただろうか。日吉くんは静かに口を開いた。
日吉「…言われたんです。『1人で進むのも否定はしねぇ。だがよ、…仲間を見ねえ頂点(王)には誰もついてこねぇ』…」
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作者名：ガブちゃん | 作成日時：2018年5月22日 22時
