【テニプリ】悪女の証明【立海大】【白石蔵ノ介】 (ページ7)

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『いや、なにこれ？！』
そう思わず叫ぶのもおかしくない。最新の携帯を買ってもらってから今までの古い携帯はずっとロック状態であった。
今日久々に昔の写真を新しいほうにデータ転換しようとしたら大量のラインメッセージ。それにびっくりしてしまったのだ。

同一人物からのライン。
『蔵かぁ…』
未練がないなんて言わない。しかし東京にきてしまった以上離れた距離に自然と自分の気持ちは薄まると思った。それは蔵にも申し訳ないと思ったのであえて何も言わずにここへ来た。

自然消滅になることを望んだ。自分から振るのはなんか躊躇った。

しかし、こんなに好かれてたとは…

私は複雑な思いになった。蔵はATMとして付き合い始めたが、だんだんと少しずつ好きになってる自分に気づいてた。本気で好きになる手前でこっちにきて助かったと思う自分がいる。

「変に叫ぶな。」
下から〝兄"の声がした。

この三日間でだいぶこの家のことわかってきた。
年中仕事であちこち飛び回ってる叔母叔父
広大な家に一人いるお坊ちゃま。

私の話は事前に聞いて居たっぽいが、やはり急遽女が現れて一緒に住むとなると困惑しただろう。

『お兄ちゃん、帰ってきてたのね。』
私は部屋から出てメイドからタオルをとりソファにだらしなく座る兄に渡す。部活帰りで汗のにおいが充満してる。

『お兄ちゃん、今日も部活お疲れ様。』

持ち前の愛嬌でにっこりと笑顔を見せる。タオルを受け取った兄は私の顔を一瞥しすぐそらした。

兄はメイドにあれこれと指示するとあっという間に広いリビングで二人きりになった。

「その呼び方やめろと言ったはずだ。あと今誰もいねぇからその拙い演技もするな。」
兄の冷たい目線に私は怯まず、笑顔を浮かべたままふっと鼻で笑った。

『…名義上の妹ですから』
それを聞いて兄はしばらく黙り込む。

　 ……

「立海大はどうだった？」
沈黙を破ったのは兄だった。

私は少し考えて
『…いいところだった』と答えた。