何も起こらない.......筈だった【童磨】

【18話】 ページ20

童磨side



俺と向かい合って本を読むAを眺めていた




何をそんなに一生懸命調べているのだろう？



誰のため？



何を知ろうとしているの？




俺は、正直怖いんだ



本は、人間もよく言うように知識の塊だから。




Aは思い出してしまうかもしれない




俺とAは、本当はなんの関係もないんだって。赤の他人なんだって



Aは逃げるかも....いや、逃す気はないんだけど




俺は、Aに幸せになって欲しい



でも、幸せにするのは絶対に俺



他の誰かに干渉なんてさせない



誰にだって会わせない




もし、Aは俺とじゃ幸せになれないのなら



俺がAを不幸にする



どっちにしろ、Aの不幸も幸せも....ぜーんぶ俺が決めるんだ



横暴？知ってる

自己中だよね？わかってる



でも、それが俺の愛のカタチ




童磨「(ねぇ、A。君はさ、いつになったら俺を好きになってくれるの？)」




熱のこもった視線にも、君は気づかない




......もどかしいなぁ







突然、Aが顔を歪めた


A「あ“あ”あ“ぁぁっ！」



童磨「ッ！A！？どうしたの！？」



Aは頭を抱えてうずくまる



そんな中、Aは呟いた「....あぁそっか、私は知ってた」って



普通の人間になら聞こえないと思うけど...生憎俺は鬼だからね！



町娘一人の呟きも聞こえないんじゃ、上弦になんてなれない




それでさぁA、君は何を知ってたの？



いや、何を思い出したの？

不安なんだ






君がこっちを向いた時、全てを理解した


俺を見つめる瞳には、今までにない熱を持っていて

今まで、なんの変化もなかった白い肌は赤く染まっていた



俺、この顔知ってるよ


誰かに恋してる時に、女の子がする顔だ




君が思い出したのは、恋だよね?




あぁ、ようやくだ！やっと....！



Aちゃん、つかまえたよ



心も、身体も


ぜーんぶ

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