何も起こらない.......筈だった【童磨】

【12話】 ページ13

童磨side





A「貴方は........誰なのですか.....？」




あぁ、なんて都合が良いんだ


って思った




Aちゃんを此処に連れて来る前に、俺はAちゃんにちょっとだけ怖い思いをさせちゃったからね




でも、それを忘れてる





Aちゃんを見た感じ、元お父さんとの怖い思い出も忘れてるみたいだし、なんなら全部忘れてるかも........なんで分かるかって？



ほら、覚えてたらさ

泣じゃぐったり

お父さんやお母さんに助けを求めたり

苦痛に顔を歪めてたりするんじゃないかなぁ〜って



でも、今の表情(かお)は


困惑

疑問


そして.....

少しの恐怖が混じったものになっている


きっと、俺を警戒しているんだろうなぁ


まぁ、そう普通はそうだよねぇ




起きたら知らない人の家に居たんだ



これで少しも警戒しない奴はよっぽどの馬鹿か唯のあばずれだよ



おっと、話が逸れちゃったや

ごめんねぇ






でも、Aちゃんが忘れてるなら都合がいい


あ、これ言うの2回目だね







ともかく、忘れてくれたおかげで大分手間が省けたよ



後は、何もかも忘れたAちゃんの頼れる人になる


そして、ちょっとずつ.....ちょっとずつ

俺に都合のいい常識を教えていくだけ.......





Aちゃんが気付かないように


ちょっとずつ.....ちょっとずつ


でも、確実に......





少しずつ、洗脳していくんだぁ







そう、考えただけで.....自然と口の端は吊り上がる





あぁ......駄目だ


又、Aちゃんを怖がらせちゃう




俺は、何時もの扇で口元を隠し



何時もの様に微笑んだ

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