交錯する線 part 2 【Kento】 (ページ3)

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ファンじゃないフリを装うのもここまでだなと私も思った。

ここまで赤裸々に相談しておきながらなお嘘をつき続けるのは滑稽極まりない。

「はい、そうです。隠しててすみません。」

目の前に座る彼と目を合わせ頷く。

本当のことを言い緊張が解かれたのか、
自分が思わず笑顔になっていることがわかる。

「だよな。隠せてなかったけどな？
まじ嘘下手でウケたわー。
それもまぁ可愛かったんだけど。
えー、なんかAちゃんの口からそれ聞けて嬉しいわー。
にしても応援ありがとう。」

口元を両手で覆いながら感慨深げに言ってくる。

「で、実際ファンとしても中島推しなわけ？」

「え、や、グループ全員好きです」

と少し焦りながら言う。

「Aちゃん優しいけど、嘘下手ー！」
と笑いながら言う。

「はい、握手」

テーブルの向こうから手を差し出してきた。

「え、いいんですか？」

「うん、もちろん」

「ありがとうございます」

両手で菊池さんの手を握った。

ぎゅっと握り返してくれる。

「中島もいいけど、俺もみてね」

と今日一番の可愛い笑顔で言われ、
さすがにきゅんとなる。

「はい」と私も笑顔で言う。

手から伝わる彼の体温で、私の心もあたたまるようだった。