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内容は中島からアプローチを受けていること。
まじか、と思った。
この前の楽屋の時はそこまでの感じしなかったのに、急に本気になったのか?
実はあの時からけっこう狙ってたのか。
まぁお茶に誘うぐらいだもんな。
どうしたいのか、好きなのか?とほら言えよ、とばかりに彼女に問うと、
どきどきする、と言った。
その時彼女の顔を見て、
中島が見たのはこの顔かと思った。
女の顔をしてる。
もう中島にオチてるのかもな、と思った。
本人は認めたくないようだったけれど。
中島は一体何をやったんだ?
先程までのテキパキと仕事をする彼女と、
今自分の目の前で不安そうに小さくなっている彼女の危ういアンバランスさが、己の庇護欲を刺激してくる。
まじで勘弁だわ。
俺が気持ち持っていかれそうになってどうする。
自分を自制する意味も込めて、アイドルとファンという立場を明確にしたくて、握手をしたのに。
みんな好きですと優しい嘘をつく彼女も、
手を握って俺もみてねなんて言う言葉にはにかむ彼女も、全部逃したくないという独占的な想いに駆られる。
極めつけは最後の名前呼びだ。
恥ずかしがりながら自分の名前を呼ぶ彼女を見ると自分の中に甘い感情が渦巻くのを止められない。
自分からねだったのに、やめておけばよかったと激しく後悔した。
あいつはいいやつだよとお勧めしておいた。
これは本当のことだ。
そして自分を守るためにも。
中島とさっさと上手くいってくれれば、このどうしようもない感情も収まるんじゃないかと思って。
まじでだるいって。
俺は目を瞑ったまま呟いた。
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作者名:にこ | 作成日時:2021年9月25日 22時