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のそのそ店内に戻るといつの間にか戻ってきていた店長がカウンターで片付けをしていた。
「お疲れ。大丈夫?すごい疲弊してない?」
笑いながら言う。
「店長〜!アイドル中島健人が来るってこと、予約の時知ってたんですか?
なんで私に担当させたんですか??」
「もちろん知ってたよ。自分は打ち合わせで手が離せなかったし、中村誰接客にするにしてもあんまり動じなさそうだから。任せてもいいかなと。どうだった?セクシーサンキューって言ってた?」
これ店長楽しんでんな。
「いや、言ってないですし。」
セクシーという単語が出たことは伏せておく。
「それなら先に教えてくださいよ。心の準備もなく接客しなくちゃいけなくて、さすがにアイドルを前にしたらタジタジでしたよ」
「そう?帰っていく姿見たけど、大丈夫そうだと思ったよ。問題なかったんじゃない?太客ゲットのチャンスじゃん、引き続き最後まで頼むね。」
お気楽な様子で肩をぽんぽんとたたいて店長は奥に引っ込んでいった。
人の気も知らないで…と思いながら先ほどまで彼のいた個室へ戻る。
信じられないけどたしかに普通に会話していた。
仕事を介していたからこそ平常心で話せたんだろうなとこの状況を分析してみる。
もしプライベートで出くわしたなら、ただただキャーキャーなってまともに会話なんてできない。
というかそもそも一般人の私と彼との間に会話の時間なんてないのだけど。
終始感じがよく、偉そうな態度もない、本当にいい人だった。
そんな彼に自分の仕立てるスーツを着てもらえるなど、奇跡だ。
仕立ててよかったと思ってもらえるような最高のスーツを作ろう。
ファンであることは変わらず私だけの秘密にして仕事に邁進するのだ。
私はそう改めて誓い、彼の選んだ生地をオーダーノートに書き留めた。
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にこ(プロフ) - risaさん» コメントありがとうございます。更新のペースはゆっくりになるかと思いますが頑張ります!引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです♡ (2021年9月24日 14時) (レス) id: c73915c859 (このIDを非表示/違反報告)
risa(プロフ) - ドキドキしながら読ませていただきました♡ これからの展開が楽しみです!更新楽しみにしています! (2021年9月23日 18時) (レス) id: fe924e0240 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にこ | 作成日時:2021年9月18日 9時