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The Little Mermaid (ymhk) ページ5

hk side



「やっと俺も空が見れるんだね〜」


そう言って兄弟たちの方を見ると、

皆、俺に呆れている様子だった。


5番目の姉は言った。

「空は綺麗だよ、光。」


4番目の姉は言った。

「夕日のバックに見えるグラデーションも素敵。」


3番目の姉は言った。

「夜の輝く星空に綺麗な黄色い月も最高。」


2番目の姉は言った。

「きっと良い思い出になるわ。」


そして、1番目の姉は言った。

「けれど人間は愚かで醜くい生き物よ。気を付けて。」


スルっと1番目の姉が伸ばした手が、俺の頬に当たる。

白くて細い腕はとても綺麗だ。


「そんなに?」


笑って返すと、姉たちは険しい顔をした。

そして、そっと下を向く。


「光が信じられないのも無理はないわ。」


何で皆そんなに人間を嫌うのだろうか。

俺には理解できなかった。


「あのね、私たちは運がよかったから今いるけど、
人間に見つかれば捕まえられてしまうの。」


そう言った姉の目は悲壮感に満ちていた。

姉が嘘を言っているようには見えなかった。


「私たちは光にはそうなってほしくないの。」

「うん、ありがとう…」


下の姉から順に、そっと頬にキスをする。

俺がキスをすると、姉たちは優しく返してくれた。

白くて冷たい姉たちの肌は、この世で1番綺麗だ。


「いってきます」


1番目の姉の手をぎゅっと握って挨拶をした。

俺が尻尾を動かすと、姉はそっと手を離して、

俺に向かって優しく微笑んだ。

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作者名:?? ますだ とちおとめ | 作成日時:2018年1月25日 21時

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