検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:10,986 hit

# ページ4

「…っせーな。」

「え?」


聞き返してくる鬼の脛をバンっと蹴る。

不意打ちだったからか、鬼はふらついて、

ドスンッという音をたてて後ろ向きに倒れた。


脛は弁慶の泣き所というが、

鬼の泣き所でもあったようだ。

呻くような声をあげて、鬼が足を抱え込む。


「ぷくくっ!いたそうでちゅね!」


先程の鬼の真似をして、鬼の髪の毛をぐいっと掴む。

俺を涙目で睨む鬼の顔は、とても綺麗だった。

瞬きするたびに睫がぱちぱちと揺れる。

噛みしめられた唇からは真っ赤な血が流れている。


気付けばその唇にそっと自分の唇を重ねていた。


「っー!?」


バンっと鬼に押し返されて我に帰った。

鬼を見ると、まだ混乱しているのか目を丸くして、

口を押さえながらわなわなと震えていた。


そんな鬼に、もともとなかった恐怖心なんかは

もうマイナスレベルまで来ていて、

不覚にも、可愛らしいと思ってしまった。


「お宝なんて、もういらないかも…。」


鬼の胸ぐらを掴み、ドンと床に叩きつけ、

ガバッと鬼の上に覆い被さる。

地面に押し倒された鬼は、苦しそうな顔で、

やっぱり俺をギロリと睨んでくる。


けれど俺にとってそれは、

煽っているようにしか見えない。


「ねえ、お宝なんていらないから、
鬼さんちょうだいよ…」


そう言って、噛みつくようにキスをした。

鬼の唇から、またどろどろと血が流れてくる。

口のなかは鉄の香りが充満していた。


「ももたろうさんは、きびだんごよりも、
鬼さんが食べくなっちゃった…」


口についた鬼の血を親指で拭い、ペロリと舐めると、

錆びた鉄の臭いと、血の甘い味がした。

The Little Mermaid (ymhk)→←ももたろさん(cnhk)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
92人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:?? ますだ とちおとめ | 作成日時:2018年1月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。