赤いチューリップを

6.F ページ6

みつは次の日も、その次の日も目を覚まさなかった。









それでも俺は毎日毎日顔を出す。









時には学校を休んでまで毎日顔を出した。









藤:みつ〜今日はお花を持ってきたよ。赤いチューリップ。
鉢に植わった花は病室に根付くとか言ってあまり良くないらしいんだけどね、花言葉に惹かれて持って来ちゃった。





北:…





藤:…あのね、赤いチューリップの花言葉は…っ…"永遠の愛"…
みつぅ…ずっと愛してるよ…っ…









涙が溢れて止まらない。









死なないって信じたいけど、ずっと一緒にいれるって信じたいけど









心ではそう思ってても感情が付いて行かない。









藤:…っ…









ピッ…ピッ…ピッ…









俺はただただ泣きながら手を握ることしかできない。









泣き疲れて少しうとうとし始めた頃、みつの手を握っている手を軽く握り返された。









藤:…みつ…っ！？









みつの顔を覗き込むとゆっくり開かれる瞳。









藤:みつ…よかった…本当に…っ









また涙が溢れ出す。





俺は震える手でナースコールを押そうとすると、みつは喉に繋がれた管のせいで出しにくい声を必死に出して俺を呼ぶ。









北:…ねぇ太輔…っ…ちょっとまって…





藤:…なあに？





北俺ね、太輔に出会えて幸せだったよ。太輔のおかげですごく楽しい人生だった。









か細い声なのに、どこかしっかりとした口調で言ったみつは





自分に死が近づいていることを俺に伝えているようだった。









藤:…っ…俺も…幸せだったよ…でも、俺らは一緒にもっともっと幸せになるんだ。
俺が幸せにしてやる…っ…みつの病気は治る。…ね？みつ…





北:…ありがとう太輔。愛してるよ…





藤:俺も…俺も愛してるよ。宏光…









ひろは小さく微笑んで目を閉じた。









ピッ…ピッ……ピッ………




ピーーーーーーーーーーーーーッ









藤:みつ……っみつぅぅぅぅぅ………っ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……

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