シーグラス (ページ42)

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★42 ページ42

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『.......海の匂いがする』

電車を降りた瞬間、ふわっと

潮の匂いが鼻を抜ける。

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平野「わかる？」

『はい。私、海好きなんです。』

平野「本当？よかった！じゃぁ行こっか」

その言葉を合図に、平野先輩はあるき出す。

私も、平野先輩のあとに続き

あるき出した。

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途中、ハノから電話が入り、

私は、スマホの画面をTapした。

『もしもし？』

ハノ「A？どこにいるの？」

『今、平野先輩といる。』

ハノ「え？そうなの！？」

『うん。だからごめんだけど、授業終わったら、カバン、保健室に持って行っててほしい。』

ハノ「うん、わかった。」

『ありがとう。放課後。ハノも頑張ってね？』

ハノ「わかったよ////」

電話を終えて、ポケットをしまう。

紫耀「大丈夫？」

『はい。ハノでした。』

紫耀「そっか。」

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『.....うわ〜.......きれい...』

目の前に広い砂浜と海

私は、思わず声が漏れた。

紫耀「でしょ？俺も、ここ好きなんだよね」

『よく来るんですか？』

紫耀「うん。考えたいときとか。あ。廉もよく来てるよ」

『へぇ〜』

先輩も来たりするんだ....

紫耀「Aちゃんってさ、シーグラスって知ってる？」

『シーグラス....？』

平野先輩は、砂浜に降りて

しゃがみこみ、何かを探し出す。

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紫耀「あ、あった。.......はい。これ！」

平野先輩から差し伸べれた手。

手を出すと、コロン。と一つ

砂にまじったものが手のひらに乗った。

砂をはたき、親指と人差し指で持つ。

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『......すごい....』

紫耀「きれいでしょ」

波に揉まれて角の取れた小片となり、

曇りガラスのような風合いになるらしい。

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紫耀「辛いことや悲しいことってさ。ない方がいいかもしれないけど、たくさん傷ついたり、困難を乗り越えた人って。」

紫耀「なにも経験してない人より、このシーグラスみたいに、キレイに輝けると思うんだよね」

そう言ってシーグラスを

見つめる平野先輩。

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『.........なんで、ここに連れてきてくれたんですか....？』

紫耀「ん〜？...Aちゃんが、学校にいたくないって顔してたから？」

そう言うと、平野先輩は、

首を傾げて私に微笑んだ。

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