シーグラス (ページ31)

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周りの生徒たちが私達を見ている。

けど、そんな目線も気にできないほど

私は、呼吸をするのに精一杯。

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先輩とふたりで学校を出る。

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遠くから見ているだけだった先輩が、

今、私の少し前を歩いてる。

今日で二度目。

前回は、先輩を見る余裕なんてなくて。

でも、今日は、勇気を出して、

目線を、上げてみる。

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着崩している制服。

襟元にふわっとかかっている髪の毛。

時折するいい香り。

その全てが私をドキドキさせる。

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前回と同じ公園に立ち寄り、

ふたりでベンチに座った。

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廉「Aちゃん？」

『.....はい////』

廉「今日は、聞きたいことあんねんけどえぇ？ホンマは、屋上で聞きたかってんけど」

『....なんでしょう？////』

先輩は、一度深呼吸をして、

廉「Aちゃんって、好きな人おんの？」

先輩の瞳に私が映る。

吸い込まれそうなほど、キレイな瞳に

私は思わず目線を外した。

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廉「おる？」

『.........はい...////』

廉「.......そうなんや。」

『.......なんで、そんなこと聞くんですか...////？』

私の質問に、先輩は少し沈黙して、

「なんとなく！」と答えた。

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『.......私も、聞いていいですか？』

廉「うん。えぇよ」

『..........先輩は、好きな人いるんですか？』

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私の質問に、困ったような顔をして、

小さく、こくんと頷いた先輩。

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あ......好きな人いるんだ......

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なんだ....

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私なんて、最初から恋愛対象として

見られてなかったんじゃん。

先輩からしたら、妹を可愛がるような

感覚で、私といたのかもしれない....

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私だけがドキドキしてて.....

先輩は、そんな気サラサラないのに、

私.....

バカみたい......

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その後、

どうやって先輩と別れたのかも、

家に帰ってきたのかも

全然覚えていない。

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ただ、一つ。

〈先輩には、想ってる人がいる。〉

そのことだけが、

私の中で、こだまし続けた。

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