* 最 後 の 仕 事 * ページ42
You side
『はあ……』
寮の食堂で持ってきたノートパソコンの電源を入れて、さっき撮った、こんちゃんの写真をバックアップ用のUSBに保存する。
『はあ……』
Ys14「あれ?Aじゃん。この時間に食堂にいるの珍しくない?どうした?」
『梨さん!』
梨さんこそ、何でここに?と言うと、まだ戸田では練習するの緊張しちゃって。慣れた鎌ヶ谷を使わせてもらってるんだよね。と言いながら私の隣に座る梨さん。
Ys14「こんちゃんだ」
『さっきトレーニングルームで撮ったんです』
Ys14「いいね、俺、Aの撮る写真好きだわ」
ありがとうございます!と言うと、じゃあ、俺、戻るわ。と出ていきそうな梨さん。行かないで…。
『行かないで』
Ys14「え?」
『え?』
思わず声に出ていたみたいで。しょうがないなあ。といったように立っていた梨さんが、また私の隣に座る。
Ys14「A?何かあった?」
『何にもないですよ』
Ys14「ごめん、トレーニングルームの事、知ってるんだよね」
さっきの白さんの件…ですよね。とシュンとすると、大丈夫だよ。と優しく宥めてくれる。パッと顔を上げると、うんうん。と言いながら頭を撫でてくれる。
『私のこと、遠ざけているのは何となくわかってたんです』
Ys14「うん」
『やから、私も極力関わらないようにしてたんです』
そっか。と最後の最後まで梨さんに迷惑をかける私。心底、こんな性格の自分が嫌い。自分で何とかしようとしないで逃げてる自分が嫌い。
Ys14「あいつポジティブなくせに思い込み、スゲー激しいからさ」
大丈夫。人見知りの俺があんなに仲良くなれたんだから、Aならすぐだよ。と言ったと思ったら、な!と突然大きな声を出した梨さん。何!?と思ったら食堂の入り口からバツの悪そうな顔をして入ってくる白さん。
『え、白さん』
Ys14「お前さー、本当は仲良くなりたいくせに何で反対のこというわけ?」
43「いや、だって」
Ys14「だってじゃねーよ」
こっちこい。と言う梨さんの声でオズオズと食堂に入ってくる白さん。えっと…何を話したら。と考えていると、白さんがいきなり、ごめん。っと。
『え?いや、悪いの私の方なんじゃ…』
43「俺、Aの事、相当勘違いしてた」
努力もしないでそつなくこなす、要領のいい世渡り上手なやつだと思ってて、俺、自分が真逆の人間だから、そういうやつ嫌いなんだよ。と。
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作者名:歌子(かこ) | 作者ホームページ:https://bit.ly/35Iex9O
作成日時:2018年10月26日 22時