* 内 緒 の 清 算 * ページ4
西川 side
7「A寝るでー」
『まだスキンケアしてないです』
部屋にある鏡台に向かって、化粧水やら何やらををパッティング。それを見ると、ああ、女の子やなあ。と改めて思う。コンコンと部屋の扉がノックされて、Aが、はーい。と言うと鍵さんが、化粧水貸して。と入ってくる。この人は……女子力高い系男子。
30「変えた?」
『変えましたよー。クリスマスにSK-IIのセットもらいまして。今まで使ってた雪肌精が無くなったのでこれに変えました』
30「どおりで。最近、毛穴目立たなくなってきてるもんね」
『本当ですか?』
30「整ってる感じする」
陽平さんに褒められた!嬉しい!と本気で嬉しがる。えっと、鍵さん、あなたは何者ですか?ベッドの上で横たわりながら女子(?)トークを聞く。
『あ、陽平さんにこれあげます』
30「お土産?」
『コスメマニアの救命士の先輩から2枚もらったんですよね』
まだ全部片付けていないキャリーケースの中から、唇の形をした何かを取り出して、これです。と鍵さんに渡すから、俺も鍵さんも頭にクエスチョンマーク。
『韓国コスメでリップパッチって言って、唇のパックです』
30「まじ?めっちゃ嬉しいんだけど」
『今、一緒にやりましょー』
30「いーよー」
俺は早く寝たいんやけど。と思いながらAと鍵さんが唇パックをするのを見守る。お互いに唇にくっつけたのはええけど、喋られへんから、鍵さんが静かにバイバイと手を振って部屋を出る。
10分くらいたって、やっとスキンケアが終わったのかベッドにモゾモゾ入ってくるAを捕まえて、抱き枕代わりにしてみる。鍵さんが言う通りちょうどええサイズ感。疲れていたのか、すぐに寝息を立て始める。
7「何か話し有ったんちゃうの?」
Aの前髪をかき上げて、おでこにおやすみのちゅーなんてしてみる。
7「ほんまは俺やってお前のこと好きやったんやからな」
出会った当初に抱いていた気持ちを寝ているAに対して暴露してみる。今、ほぼ鍵さんと同じで妹的な気持ちやから出来るこの行為。ふと、さっきケアしていた唇が目に入った。
7「お前は何人の野球選手惚れさせたら気がすむねん」
ほんの僅かに残っていたこいつに対する恋愛的な好きって気持ちを清算するように、俺の腕の中で寝るAの唇に誰にも内緒でキスをする。
7「さよなら」
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作者名:歌子(かこ) | 作者ホームページ:https://bit.ly/35Iex9O
作成日時:2018年10月26日 22時