それはまるで魔法のように【８】 (ページ20)

今日:10 hit、昨日:27 hit、合計:220,370 hit

＊バランス栄養食＊ページ20

鍵谷 side

卓のこと、慎吾のこと、優心のこと。それぞれの気持ちは男だから痛いほどわかる。と思って、どうなんだろう？と思って話をしていたら、俺が冷静になれなくて、ついつい言い過ぎてしまった。

明日、朝、起きたら謝ろう。それで今日は３人で外に飲みに行こう。って誘おう。と思いながら眠りに着いた翌朝。卓の、鍵谷！！と言いながらノックもせずに俺の部屋に入ってくる音と声で目が覚めた。

30「…何？」

9「Aちゃんが、おらん！」

その言葉で一気に目が覚め、飛び起きてリビングに行けば、カーテンが開けられていて、明るい日差しが入る。机にはしっかり用意された朝ごはんとお弁当と置き手紙が１枚。

30「＂少し気持ちの整理をしてきます。＂」

9「電話も繋がらんし、ラインも既読にならん」

完全に昨日のやつが原因だ。と咄嗟に判断して、卓に、ごめん。俺のせいだわ。と言うと、は？と言われ、事情を説明する。

9「…はぁ。やから、混乱させたりしたくなかったから、じっくりゆっくり進めるって、張本人の俺が言ってるのに……はぁ」

30「ごめん。俺もあんなに冷静になれなくなるの久し振りで、今日、起きたら謝ろうって思ってたから」

9「ま、この生活に嫌気がさして出て言ったんやないから、いっか」

怒らないの？と言えば、怒る必要ある？と言われる。やっぱり卓は器のでかい男だなと再認識する。本人には絶対に言わないけど。

9「どこに行ったんやろうね」

30「全く検討つかない」

9「恐山とか？」

30「はあ？何で？しかも冬は入れないでしょ」

あ.そうやっけ？とバカ話をしながらAの作ってくれた朝ごはんを食べる。本当に俺が子どもだったし、ちゃんと話を聞いてあげられなかった。ごめん、謝りたいから、早く帰ってきて。と

9「てか、鍵谷が冷静になれなくなるくらい言い争ったん？」

30「全然。ただムキになっただけ」

４人の気持ち弄ぶの？とか言っちゃったし。としょんぼりしてると、弄ばれるのも本望。ゴロゴロ手のひらの上で転がされるのが男にとったら幸せなことやない？と言う卓。考え方が男だな。一途に着実に手応えを感じながら進めたい俺とは正反対。

9「とりあえず、今日帰って来んかったら、メシどうする？」

30「心配するのそこ？」

うん、Aちゃんのバランス栄養食が食べられないの辛いわ。とジト目で見てくる卓の言葉は聞こえないふり。

.