それはまるで魔法のように【７】 (ページ10)

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近藤 side

卓さんも鍵さんも、慎吾が巨人に移籍したって意識が、まるでない。まあ、それはそれで良い事なのかもしれないけれど、今の慎吾にとったら……ほら。不機嫌の要因。自分の知らないAちゃんの話。すっげー不貞腐れてるのが手に取るようにわかる。

『慎吾？ほんま大丈夫？具合悪いん？』

G49「え？大丈夫やで、元気、元気」

グイーッとジョッキの中のビールを飲み干して、お店の大将に、大将！生１つ！と元気アピールするけれど、空元気なのがバレバレ。

30「調子悪いなら無理すんなよ？」

G49「全然大丈夫です」

体調が悪いわけでもなければ、多分練習で疲れているわけでもない。９３年組で集まってワイワイやる時とは違って、卓さんと鍵さんの事を、仲の良い他球団の先輩。として接しているからこそ。Aちゃんが、どんどんファイターズの選手と仲良くなっているのが見えて仕方ないのだろう。

ああ、ああ。これは、重たーい愛情を抱いている慎吾がひょっこり顔を覗かせているぞ。

8「＂俺の方が付き合い長いのに、何でそんなに仲良くなってんだよ＂」

9「は？こんちゃん、どうしたと？」

8「って少しイライラしてるんじゃないかなーと思って。ねー？慎吾？」

プイッとそっぽを向いて勢いよくビールを煽る慎吾を見て、察してくれた鍵さんは、うまーく本当にうまーく、鎌ヶ谷の話からAちゃんのマーチング指導をしている高校の話にすり替える。

30「早くに鎌ヶ谷来た時、マーチングの全国大会もあったんでしょ？」

『ありましたよ！よく知ってますね』

30「優心と上沢と一緒にホームページ見たから」

『全国大会、慎吾に観に来てもらったんですよ』

G49「勇人さんと菅野さんと誠司さんと宮國さんの５人で行きました」

9「豪華なメンバー」

そんな鍵さんの気遣いも虚しく慎吾は、ずっとぶっすーとしている。もう。本当、お子ちゃまなんだから。まあ、仲良くなって焦っているみたいだけど、結局Aちゃんと１番仲良しなのは慎吾だし、慎吾はそれに全く気が付かないし。このまま、焦らせておくのも楽しいかな？と思って、黙っておく。

あれ？俺ってこんなに人の色恋沙汰を楽しむ人だっけ？と疑問に思いながら、慎吾の嫉妬と焦りを傍観。

【マシュマロ返し】させていただきました

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