* 存 在 感 * ページ45
鍵谷 side
遥輝とカウンターに肘をついて、冷蔵庫を開けて材料を取り出している卓の背中に、何作るの?と問いかければ、ボソッと一言。オムライス。と返ってくる。
7「本当、やめてもらってええですか?」
隣の遥輝が心底やめてほしい。という声のトーンで言うけれど、そんなの御構い無しに、Aがキレイに使っているまな板と包丁を取り出す。
9「何で?」
7「Aが来てくれた自主トレの時に作ってくれた美味しいオムライスの記憶を卓さんの失敗オムライスで、俺の最新オムライス情報を更新したないです」
9「そんなん、お前のオムライス事情なんか知らんわ」
失敗前提で言うな。もしかしたら、めちゃくちゃ美味いかもしれんやろ。と何を根拠にその奇跡を信じているのかわからないけれど、いつになくポジティブな選手会長様。副会長は心配だよ。
30「とりあえず、どうやって作るか口頭で言ってみ?」
9「玉ねぎ切る、とり肉切る、玉ねぎ炒める、とり肉入れる、ご飯入れる、ケチャップ入れる、取り出す、卵入れる、包む、出来上がり」
7「意外に知ってる」
9「(どやあ)」
30「そのどや顔、うざ」
9「うるさ、やればできる子やけん」
いけるやろ。と玉ねぎの皮を剥き始める。ちょっと待って。2人分なのに1個使うの?と言うと、半分しか使わないけど。と。
30「半分しか使わないなら、皮ごと半分に切ってラップして保存しなきゃ」
9「そおなん?」
30「え、俺はそうしてるけど」
7「卓さん!」
9「遥輝、お前そんなこと知ってた?」
7「俺も少しは料理やるので」
こんなとことで躓いてて先が思いやられる。と思ったら、包丁を持たない、抑える方の手が全然猫の手じゃないから、本当に危なっかしい。
30「ねえ、調理実習ってやらなかったの?」
9「やった。猫の手やろ?」
7「それ猫の手ちゃいますよ」
9「猫の手やん」
30「爪たててるだけじゃん。玉ねぎに威嚇しないでよ」
こんなところAが見てたら、卓さんには包丁持たせられません!って秒で奪うんだろうな。とその光景が容易に想像できる。
30「卓、それ何切り?」
9「みじん切り」
30「すごく歯ごたえありそうだね」
存在感のある玉ねぎのみじん切りを披露してもらった後、とり肉を切っているのだけれど、ひと口サイズのからげ作るのかな?って大きさにしているから、再度確認。
30「オムライス作ってるんだよね?」
9「うん」
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作者名:歌子(かこ) | 作者ホームページ:https://bit.ly/35Iex9O
作成日時:2018年9月24日 20時