それはまるで魔法のように【７】 (ページ39)

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＊好き嫌い＊ページ39

中島 side

『オムライスですね！』

バスタオル置いておきますね。と言い脱衣所を出て行くAちゃん。あれ？聞こえてたよな？サラッとスルーしていった。と少し優心の気持ちがわかった所で、髪、顔、身体を洗うために湯船を出る。

シャンプーとかボディーソープとか１種類しかないってことは、鍵谷もAちゃんも同じ物を使っとるんやろ。と思って、俺も使う。あ、このシャンプーのにおい、Aちゃんのにおいや。

お風呂から上がるとガタガタ洗濯機が回っていて、洗剤と柔軟剤の良いにおい。これは鍵谷の担当やから、鍵谷のにおいがする。……柔軟剤だけでもAちゃんが使っていた物に変えてもらえるように交渉しよう。

『＂陽平さん、おかえりなさい＂』

30「＂ただいまー。今日の夕飯、これ？＂」

『＂そうですよ。あじの南蛮漬け＂』

30「＂あれ？卓って魚、ダメだったよね？＂」

『＂それさっき知ったんです。まさか陽平さんも？＂』

30「＂俺は大丈夫。別にアレルギーじゃないから食べさせたら？＂」

『＂そう言うものですか？＂』

30「＂Aだって、何にも考えないで作ったわけじゃないでしょ？一応アスリートフードマイスターなんだから＂」

『＂一応栄養のバランスとかは考えましたし、自主トレ後で疲れてるかな？と思ってお酢を使ったメニューにしてみたんですけど…＂』

30「＂卓も子供じゃないから大丈夫だよ＂」

『＂はい…＂』

30「＂そんな落ち込まなくても。慎吾には嫌いな物でも食べさせるでしょ？＂」

『＂はい…＂』

30「＂それとも何？卓のこと好きになっちゃって、色々考えちゃうとやっぱり、卓の好きな物を作ってあげたくなる？＂」

『＂もう！からかわないでください！！＂』

30「＂否定しないの？＂」

『＂うるさいですよ！卓さん上がったらご飯ですから、お箸配ってください！＂』

30「＂はいはい＂」

鍵谷が帰ってきたのか、賑やかになる家の中。２人の会話を聞いてたら脱衣所を出るタイミングを失って。乾かさなくても良いくらいの髪の長さなのにドライヤーを使ってみる。

すぐに乾いたから脱衣所を出て、ソファーに座りながらテレビを観ている鍵谷に、おかえり。と言うと、ただいま。と返ってくる。

『ご飯食べましょ』

30「魚だね、卓」

9「さっき聞いたけん、知っとーばい」

『嫌いな物、把握できてなくて…』

30「子どもじゃないんだから。いいの、いいの」

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