それはまるで魔法のように【７】 (ページ28)

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＊死活問題＊ページ28

You side

ホットカーペットの上でぬくぬく、足を投げ出して座る陽平さん足の間に座ってテレビを見ていたら、急に年越しそばを思い出した。ぽすっと陽平さんに体重を預ければ、どうした？と聞かれる。

『年越しそば作ります！』

30「本当に作るの？無理しなくていいよ。てか俺が作るよ」

いや、お蕎麦茹でてお汁作ってねぎ焼くだけですもん。やらせてください。と言うと、そしたら卓、支えてあげて？と卓さんにお願いする陽平さん。いつもみたいに陽平さんがしてくれたらいいのに。

9「いいけど、どこを支えればいいと？」

30「後ろからハグする感じ。ピタッと密着してあげて？で、左足は体重をかけたらダメだから、自分の足の上にAの足を置かせてあげて」

9「めっちゃ恥ずかしいやん」

30「Aにとっては死活問題なの」

『家の中の松葉杖のお許しが出ないんです』

フローリングは危ないんだから、ダメに決まってるでしょ。と言われる。過保護すぎやしません？と思っていると、だから卓、お願いね？と言う陽平さん。何で卓さん？まあ、いっか。

『卓さん。キッチンまでの搬送もお願いします』

9「え？鍵谷が玄関からリビングに運んだみたいにやるの？」

30「お姫様抱っこでもいいよ」

9「普通に運ぶわ！」

Aちゃんおいで。と言われて立って迎えに来てくれた卓さんに両手を差し出すと、両手を引っ張られ右足を軸に勢いよく立ち上がらせてくれる。勢いよく立ち上がったもんだから、停止できなくて、卓さんの胸にダイブ。

『わあ！卓さん、すいません』

9「このままキッチン連れて行くけん、俺の首に腕回してしっかり掴まってて」

『え？あ、はい！』

簡単に私を持ち上げる卓さんにしがみつく。陽平さんに運んでもらう時には気にしなかったのに、重くないかな？とか、臭くないかな？とか色々気になってしまう。卓さんの首元に顔を埋めると、少し甘いにおい。香水付けてない卓さんのにおいや。

9「Aちゃんくすぐったい」

『卓さんのにおい、めっちゃ好き』

9「え？におい？何も付けてないけど」

『何にもしてない、このにおいすごく好きです』

無意識に。本当に無意識に卓さんの首元を甘噛みしていて、卓さんの、えっ！ってビックリした言葉ではっと我に帰る。あ、ごめんなさい！と言うと、お返し！と言って、卓さんキッチンに私を降ろして、後ろに回り、私がしたそれと同じ事をしてくる。

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