それはまるで魔法のように【７】 (ページ26)

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＊無駄無く楽しむ＊ページ26

中島 side

鍵谷の家のインターホンを押すと、ドアホンから、はーい、今開けるー。と言う鍵谷の声と、後ろで卓さん来たんですか！？と言うAちゃんの声がしたから、本当にこの家で生活してるんだ。と思った。

ガチャガチャッと２個カギが開く音がした後、鍵谷に支えられたAちゃんが、ドアを開けて、待ってましたー！とにっこり笑顔。２日前、遥輝に、やんや言われながらも飛行機のチケット取って良かった。

30「意外と早かったね」

9「あんまり道、混んでなかったけん。すいすい来られた」

30「年の瀬だし晴れてても外には出ないよねー」

9「ばり寒いわ。東京の寒さとはわけが違う」

『卓さん。寒いので早く中に入りましょーよー』

30「A？ここ俺の家ね？」

寒い！早く私をリビングに運んでください！とAちゃんが言うと、もー！だからリビングで待ってればよかったでしょ！と鍵谷。だって、お出迎えしたいじゃないですか！とAちゃんが反論しつつも、よいしょ。と鍵谷はAちゃんの後ろからお腹に手を回し抱きかかえてリビングへ搬送。

靴を脱いで後ろをついて行けば、この前、来た時よりキレイになった鍵谷の家。あ、今日は大晦日だ。大掃除したんだ。と。

9「はい、これ」

30「何？芋きん？」

9「そ」

『わ！懐かしい！満願堂の芋きんや！』

しかも賞味期限２４時間の方やん！え、何でですか？と不思議そうに言うAちゃん。やっぱり鍵谷。お前が食べたいだけやんか。鍵谷の家に着いたのは夕方。リビングのテーブルには既に夕飯が用意されている。よく見ると、鍵谷もAちゃんもパジャマ。

9「え？早くない？」

『大掃除で疲れたので１時間だけお夕寝しました』

30「頑張ったもんねー」

『ねー』

陽平さんのお家のシャンプーええにおいするんです！と鍵谷が被ってるキャップを外した時にフワッとするそれと同じにおいがした。あれはシャンプーのにおいやったけんね。知らんかったわ。……いや、別に知らんでも良かったわ。

『この３人で年越しするなんて去年じゃ考えられへんかったから不思議な感じですね』

30「俺はまさかAが、すぐに転職してくるとは思わなかった」

9「あの時、即決やったけん、俺も遥輝も本気でビビったわ」

やって聞くからに楽しそうやないですか！と言うから、人生無駄無く楽しんでるなあ。と感心した。

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