それはまるで魔法のように【７】

＊ お 迎 え ＊ ページ49

西川 side


やればできる子だなんて嘘。卓さんのまっずいオムライスを食べさせられた翌日、どうしてもAのオムライスが食べたくて、トレーニングを早めに切り上げて、Aには何にも言わずに新千歳空港にお迎え。




卓さんも自分で作って失敗したくせに、Aちゃんのオムライス俺も食べたいからと言って真っ直ぐ帰らせるように指示してきた。




鍵さんは普通に食べたいから、何使って作るのか聞いて連絡してきて。買っておくから。と食材調達をしてくれる。新千歳空港の出口ゲートの近くでコーヒーを飲んでいると、ガラガラガラとキャリーケースを引いているAの姿を発見。




7「A」


『え？遥輝さん？』


7「お疲れ」




Aの荷物をしれっと奪いながら、迎えにきた。と言って歩き出すと、自分の荷物くらい自分で持てますよ！とまだまだぎこちない歩き方でついてくる姿は、何だか可愛い。




7「Aがいない間、ちょっと色々あってな」


『いやいや、私１日しか家空けてないですけれど』




その１日がヤバかってん。と言うと、何があったんですか。と恐る恐る聞いてくるから、卓さんが料理したんやけど…と言い切る前に、卓さんに包丁持たせたんですか！？と若干キレ気味しかも食い気味で聞いてくるから、少しビックリ。




『何作ったんですか？カレーですか？』


7「オムライス」


『どうでしたか？』




めちゃくちゃ不味かったわ！やから、どうしてもお前のオムライスが食べたいから迎えに来てん！と言うと、私、遥輝さんにオムライス作ったことありましたっけ？と返ってくる。




7「自主トレの時、作ってくれたやん」


『……作りましたね』


7「その感じ絶対忘れてるやろ」




鍵さんに食材調達お願いしてあるから、使うもの教えてや。と言うと、家にあるやつで十分やと思いますけど？と返ってくる。




『あ、でも昨日卓さんがオムライス作ったんでしたっけ？』


7「あああ！思い出したくもないわ！」


『卓さんだって頑張ったんですから。私も今度作ってもらおう』


7「ほんま味覚おかしくなるからやめた方がええよ？」


『またまたそんな。大げさな』




えっと、卵とバターと冷凍のミックスベジタブルをお願いしてください。と忘れずに鍵さんに頼む物も言ってくれる。




『ううー、寒いぃい』


7「東京に比べたらな。北にあんねんから仕方ないやろ」




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