それはまるで魔法のように【７】 (ページ22)

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＊甘口カレー＊ページ22

鍵谷 side

Aの手術が終わった翌日。無事に車イスで退院。その姿を写真に撮って、ファイターズLINEに載せる。色んな人から大丈夫？とか、良かった！とか、色んな言葉をもらうAは、球団職員とは言え、選手からも愛されてるんだな。と実感。

１度Aの家に行って必要な物を取りに行ったり、家を留守にするから冷蔵庫の中を整理したり、水道管の凍結防止をしたり。

俺の家に到着すると、落ち着かないのか松葉杖を使ってうろうろするから、座って！と言うと、はい。とリビングのソファーに座り、静かになる。

30「これ飲んで落ち着きな」

『ココア！』

ありがとうございます！と俺の手から受け取り、ふーふー冷ましながら飲んでいる姿はまるで子どものよう。夜ご飯どうしようか？と言うと、鍵さんの得意料理が食べたいです！と目をキラキラさせて言われるから、少し狼狽える。

30「ぱっと作れるのカレーしかないよ？」

『陽平さんカレー食べたいです！』

よいしょ。と立ってキッチンに向かうと、陽平さん待って！とわちゃわちゃして松葉杖を使ってついてくる。座って待ってたら良いのに。と言うと、作ってるの見たいです！とカウンターに寄っかかるA。

『私、ご飯炊きますか？』

30「うち、炊飯器で炊くから大丈夫」

私、甘口カレーがいいです。と早速わがまま。辛いの食べられなかったっけ？と言うと、今日は甘口カレーが食べたい気分なんです。と。

うち中辛のルーしかないけど。と言うと牛乳とコーンポタージュの素さえあれば、甘口になります。と。これだから料理出来る人は……。

『陽平さーん…』

30「何？今、包丁持ってるから」

『片足で立ってるの辛いですー』

30「だから座っててって言ったじゃん」

『だってえー』

少しでも離れると不安なんですもん。と泣きそうなAにイスを持ってきてやると、カウンターからアゴをひょこっと出して、ご飯まだー？って。お母さんってこんな気持ちなんだなって、すごい理解できる。

『ゴタゴタしたカレーが好きです』

30「うちで食べるんだから、うちのカレーを食べるの」

『牛乳いっぱい入れて甘くしてくださいね』

30「中辛だけじゃダメ？」

『嫌です。甘口が食べたいです』

30「今日だけだからね！」

やった！と少し右足の体力が回復したのか、またカウンターに寄りかかって立つから、疲れちゃうから、座っときなさい。って。あれ？親？いや、兄

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