それはまるで魔法のように【３】 (ページ5)

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中島 side

急いで大浴場を出ると、遥輝が言っていた通りベンチに座ってアイスを食べている大将。お待たせしました。と言うと、あと１０分あるから大丈夫や。と最後の一口を食べ終える。

9「反省会言うとったから、何か買っていきます？」

6「いや、大丈夫やろ」

宴会場やから、そこから頼めば。と食べて終わったアイスの棒を近くのゴミ箱に捨てる。お風呂上がりで喉乾いていて時間もあるから、大将に飲み物飲んでいいか許可を取る。

6「もう少し我慢してビール飲んだ方が美味いんちゃう？」

9「いや、もう喉渇きすぎてヤバいです」

近くの自販機でスポーツドリンクを買って一気飲み。ええ飲みっぷりやなあ、絶対我慢した方がビール美味くなんで。と。いやいや、あんたアイス食べてたやないですか。

9「あと５分。行きますか？」

6「せやな」

大浴場から宴会場に向かう。階段を上がって宴会場の扉を開けるとそこは真っ暗。あれ？まだAちゃん来てないのかな？と思ったら、突然曲がスピーカーから流れ始めた。

俺らがやったマリンバと同じ登場の仕方でベースを演奏するAちゃん。この子、ずっと俺らと練習してたんに、いつ練習してたと？と思う。

入口の入ったすぐのところで立って聞いていたら、後ろから風呂上がりの遥輝が、大将、卓さん、はよ中に入ってください。と風呂上がるの早いな。

中に足を進めると、不自然に置かれたイスが２脚。後ろ側に＂翔さんの席＂＂卓さんの席＂と紙が貼ってある。座ろうと前に回り込めば、大将の方にはタンバリン、俺の方にはマラカスが置いてあった。退かして座って改めてステージを見れば、口をとんがらせてベースを弾くAちゃん。

一緒に練習していて見つけたAちゃんの癖。集中すればするほど口がとんがる。サビまできてやっと、あ、これＣＭでよく聞く曲や。とわかる。

後ろから手拍子が聞こえてきて、後ろを見ればわんさかいる日ハムのメンバー。監督までいるやん。１番が終わると曲がフェードアウトして終わる。

あ、やば！と言ってステージ上のAちゃんは近くに置いていた携帯を操作する。そして、マイクスタンドからマイクを取って話し始めた。

『翔さん、卓さん。マリンバ演奏、お疲れ様でした！私が聞いてきたお二人の演奏の中で今日のが飛び抜けて上手くて心に響きました。１ヶ月間、一緒に練習が出来て私としても、とても良い経験になりました。』

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