それはまるで魔法のように【３】 (ページ3)

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＊半減バツ増大マル＊ページ3

西川 side

7「あ、さっきの会場に携帯忘れた」

卓さんと大浴場に向かう途中、ポケットに携帯が無いことに気がつく。ああ、さっき納会で動画やら写メやら取った時にそのまま机の上に置いて来てしまったんやろう。

7「俺、さっきの宴会場行って携帯取って来てから、風呂行きます」

9「わかったわー。」

先行っとるな。と卓さんと別れ、来た道を戻り階段を上がればさっきの宴会場の前に着く。旅館スタッフが忙しく片付けをしている間を縫って中に入れば、見覚えのある後ろ姿。

東京にいるはずの、こいつが何でこんな北海道の外れにある旅館に？しかも納会の日にいるのだろう？

7「は？A？お前何でここにいるん？」

そう声をかければ、こちらを見る、北海道にいるはずのないAが、げっ。見つかった。と言わんばかりの顔をする。

『は、遥輝さん。こんばんは』

7「はいはい、こんばんは。何でこんなとこにいるん？」

２回目の何故いるのか？と言う問いに狼狽える。とっさに知り合いがちょっとあれで…たまたまこの旅館に…。とか訳のわからんことを言いはじめる。何をそんなに隠す必要があんねん。

7「ここにいること、そんな隠さなあかんこと？」

『いや、違うんです』

けど。と続けるA。俺よりも３０㎝近く小さいAと目線を合わせるために、自分の膝に手を置いて中腰になる。いつもより近くなる目線と顔。

7「俺は責めてるんやなくて、何でここにいるんやろうな？って疑問に思っただけやねん。そんな泣きそうな顔、せんといて？」

な？と頭を撫でれば、ぽつりぽつりと話し出す。本当、いつもの威勢はどこへ行ったのか。

『さっきの納会。翔さんと卓さん、マリンバやったやないですか？』

7「やってたなあ」

『それのお手伝いしにきたんです』

7「そおなん？別に隠すことやなくない？」

だって、私が教えたとかそういう話ししたら、何だかんだお二人の頑張りが半減しちゃうような気がして。登場人物はお二人で十分なのに。と言う。

7「そんな事ないで？むしろ増えると思うで？頑張りだけやなくって、もっと色んなもの。」

『そういうもんですか？』

7「そういうもん」

あんまり納得してないAに、もう一度、で、何でここにいるん？と聞けば、１ヶ月間頑張って練習したし翔さんと卓さんにサプライズプレゼントをこの後あげるんです。と。

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