それはまるで魔法のように【３】 (ページ38)

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＊ホットミルク＊ページ38

中田 side

みんなが寝静まった薄暗い航空機内。隣で寝ている体のデカイ優心を起こさないように、そっと前を通る。

辺りを見回し、トイレの場所を確認する。するとボワァっと周りより少し明るい席が１つ。トイレとは逆方向やけど気になって近づいてみるとAがカタカタカタとすごい速さでパソコンを打っていた。

6「A？まだ寝えへんの？」

『翔さん』

私、一応新入社員ですから、１ヶ月間毎日レポート提出しなきゃなんです。あと少ししたら終わるので、メールで送って終わりです。と答えながらメガネを外す。

『翔さんは？』

6「トイレや」

『そうなんですね』

向こう着いたら、すぐ練習ですから今のうちにゆっくり休んでくださいね？と少し伸びをするAに、お前もな。と言ってトイレに向かう。

途中、ＣＡさんにホットミルクってできますか？と聞けば、はい。ご用意できます。お１つでよろしいですか？と聞かれたので、あそこでまだパソコン打ってる女の子に持って行ってあげてください。と頼む。

用を足してもう一度Aの席の方に行けば、気配で気が付いたのか、クルッとこちらを向く。

『翔さん、ホットミルクありがとございます』

6「終わったらすぐ寝えよ」

『はい、ありがとうございます』

7「…ん、A？まだ、起きとるの？」

話しとったら、Aの隣の少しかすれ声の遥輝がもぞもぞ起き出し、アイマスクを外してこちらを見る。

7「大将も起きてはったんですか？」

6「トイレに起きたら、まだAが起きとったから、早よ寝えよ。って言いに来た」

7「そうなんすね」

キャンプ初参加なんやから、寝なあかんで。と遥輝がAに言うと、あとメール送って終わりですから。とパパッとメール本文を打って添付ファイルを付けてカチッと送信ボタンを押す。

『声カスカスやないですか。機内、めっちゃ乾燥しますから。お茶飲んでください』

7「ん、ありがとう」

Aがフタを開けて渡したペットボトルのお茶を飲んで、また、ありがとう。と返して、Aがフタを閉める。……卓と優心が見たら泣くぞ。

『頂いたホットミルク飲んだら寝ます』

おやすみ。と言って自分の席に戻ると、優心が大きい身体をモゾモゾさせて、大将？と言う。

6「着いたらすぐ練習なんやから、お前も早よ寝え」

頭を撫でると、はい。と目を閉じる優心。自分の席座り俺も目を閉じて明日の練習に備える。

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