それはまるで魔法のように【３】

＊ 柔 軟 ＊ ページ25

上沢 side



8「痛ーーーい！ギブギブギブギブ、本当、お願いだから」


『あと１０秒がーまーんー！あ、ダメダメこんちゃん息して！お願い』




１２月も暮れの暮れ。俺と剛とこんちゃんは帰省で関東に。慎吾は明後日帰省で、Aは仕事の勤務サイクルで年が明けないと帰省できないらしい。




G49「こんちゃん、ひっひっふー、ひっひっふー」




というわけで、９３年組で集まって柔軟と体幹を鍛えるために、Aのダンス？バレエ？の練習に便乗して、少し広めのダンススタジオで柔軟中。




『それラマーズ法やから、こんちゃん妊婦ちゃうから』




もうすぐ年が明けるだとか、自主トレどうするだとか話しながら円になって仲良く柔軟していたら、イヤホンしてダンスの動画を確認しながら柔軟するAの足があり得ない角度だったりするもんだから、口があんぐり。




8「ひっひっふー、ひっひっふー」




視線に気が付いたAが、え？固くない？と目で訴えてきて、近寄るなり足を開いて前に倒れる柔軟をしていた、こんちゃんの上にいきなり乗っかるもんだから、こんちゃんらしからぬ悲鳴をあげる。




『分娩の痛みと一緒にすんなや。全国のお母さんに謝れ』




ふーっとこんちゃんが吐いたのを見計らって、更に体重をかけるから、痛いのか自然に涙が出てくるこんちゃんを見て、心底、俺じゃなくて良かった。と思う。




『アスリートなのに、この体の固さはヤバイんやない？』


12「えー、でも怪我してないし」


『今日の目的って柔軟やろ？』


15「体幹トレーニングじゃない？」


G49「せやで」




Aの手から解放されてもなお、開脚したままのこんちゃんが、お前らも１回やってもらえ！と訴えているのは３人で聞こえないふり。




15「早く足閉じなよ」


8「痛くて閉じれないの！」




思い切って閉じれば大丈夫やで。とこんちゃんの左足を持って強制的に足を閉じるA。痛いーー！とまた悲鳴をあげるこんちゃん。納会の時の遥輝さんへのわさびパンと言い、鬼だ。




『身体は柔らかいに越した事ないで』



と備え付けのバーを使って足を上げて柔軟。もうＹ字バランスを通り越してＩ字バランス。




15「そういえばさ、A、痩せた？」


『わかる！？』




せやねん、５kg絞ってん。とドヤ顔。俺の記憶が正しければ元から痩せていたはず。何でまた？と聞くと、次のステージ、バレエやねん。トウーシューズ履かなあかんから減量してん。と




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＊ ボ ロ ボ ロ の 足 ＊→←＊ 口 が 裂 け て も ＊

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