* 免 疫 皆 無 * ページ23
中島 side
朝風呂から帰ると、そおっと俺らの部屋を覗くAちゃんの後ろ姿。わっ!と驚かすと、うわぁ!と言って口を押さえてこちらを見る。
9「覗き込んで、何を企んどると」
『起こしにきました』
さっき遥輝さんは起こしに行ったので。とまた、そおっと部屋を覗き込む。俺がおらな完全に不審者やけんね、Aちゃん。
9「そんなに楽しみなん?」
『そりゃあ、楽しみですよ。北海道なんて滅多に来られませんから』
やから、早く朝ごはん食べて行きたいんです。みんな揃わないと出発できないやないですか。と進入を試みているところを肩を掴んで引き止める。
9「俺が起こすけん。Aちゃんは自分の支度しておいで」
『ほんなら優心くんの部屋の住人、起こしに行ってきます。』
回れ右して、優心んとこの部屋に向かおうとするのを、待て待てと停止。何ですか?と少し怒りぎみ。
9「女の子はそんな無闇矢鱈に男部屋に入ったらいかんの」
『職場だと出場有ったら普通に男性寝室入って起こしに行ってますよ?』
あかん。この子の職場は、男社会やった。男の寝室に入る=危ない。という方程式は皆無や。やから遥輝の部屋にも入って、起こして…ん?
9「遥輝に何もされんかった!?」
『特には』
布団剥いだらベッドに引きずり込まれたので、遥輝さんの顎を頭突きしておきました。人間の急所を知っとるって、こういう時に役に立つねんなぁ。といけしゃあしゃあと言うもんやから、もう飽きれた。
9「それは何かされた部類やの」
お願いだから自分が可愛い事、モテる事を自覚して!なんてキャラやないから言えない。ああ、でも言いたい。
『どっちの部屋だったらええんですか?』
9「どっちもいかん!」
起こせへんやん!と言うAちゃんの言葉と同時に目の前の部屋の戸がガラガラッと開く。
30「何してんの」
『おはようございます。これから卓さん部屋の優心く…』
9「鍵谷、優心んとこ。起こしてきて」
30「えー、俺今から風呂…」
9「起こした後でも入れるちゃけん、起こしてきて」
30「はいはい」
優心んとこは鍵谷、俺んとこは俺が起こすけん。はい、部屋に戻る。と言うと腑に落ちないと言わんばかりの、はーい。を貰い自室に戻るAちゃんを見送る。
30「あれ、一周まわって男に免疫ないね」
9「聞いてたと?」
30「大変な人を好きになったねえ、卓ちゃん。」
9「しゃーしか」
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作者名:歌子(かこ) | 作者ホームページ:https://bit.ly/35Iex9O
作成日時:2018年8月10日 11時