それはまるで魔法のように【３】

＊ コ ー ヒ ー ・ ル ン バ ＊ ページ12

中島 side


『それでは、栗山監督とお送りするアンコール。私と同世代の方は知っているか心配ですが……』




マリンバの脇の足の部分を軽快に叩き始めたAちゃん。それに続いて監督がマラカスをしゃかしゃか振る。すごいノリノリやん。そんな有名な曲なん？




『コーヒー・ルンバ』




コーヒー……ルンバ？大将と顔を見合わせる。卓、知ってる？と聞かれれば、いや、わからないです。と答える。




6「コーヒー・ルンバって曲名は知ってるけど誰の曲なんかはサッパリや」


9「井上陽水が歌ってませんでした？」


6「そうやっけ？」



後ろを見てもノリノリなのは、コーチ陣。選手は全くわからんと言った様子。Aちゃん。何でこの曲を選んだん？




サビの前の歌詞。いきなり監督が俺に向かって歌うから少しビックリ。うん。まあそうやな。でも若い娘って。そうやけど、監督にバレてると？と混乱。曲が終わっても疎らな拍手。




『監督ありがとうございました。何かイマイチ盛り上がりに欠けますね？』


6「コーヒー・ルンバとか知らんし」


7「もっと有名な曲あるやん」


『コーヒー・ルンバ、世界中で歌われとる歌なんやけどなあ。』




もう、遥輝さん。我儘ですね。と全部遥輝に罪をなすりつけようとしとるところが恐ろしい。遥輝は、俺！？ってなってるし。どんまい。




『あと５分しかありませんから、最後はファイターズ讃歌で締めさせていただきます。』




最後は大将と２人でやった、ファイターズ讃歌を１人で演奏。Aちゃんが俺らのために自ら編曲したファイターズ讃歌。それを１人で演奏する姿はやっぱり指導者やったんやなと改めて実感。




これでAちゃんとマリンバを練習することが無くなると思うと、少し寂しく思う。やって１ヶ月間ほぼ毎日一緒にいたけん。また札幌と鎌ヶ谷で離れ離れ。ああ、これからも毎日一緒にいたいな。と思う俺は相当Aちゃんにぞっこんで。




『はい、ファイターズ讃歌でした。アンコール含め６曲ですか？お聞きいただきまして、ありがとうございました』


6「せっかくやから、みんなで写真撮ろうや」




大将の提案でマリンバ囲んで、スタッフの方に撮ってもらう。隣にAちゃん。大将と俺の間に座っとるから小ささが際立つ。はい、チーズ。と何枚か全体写真。




『翔さん、卓さん。最後にスリーショット！はい、チーズ。』




【マシュマロ】投げお願いします




.

＊ ほ っ ぺ た ＊→←＊ ア ン コ ー ル ＊

→ 目次へ｜作品を作る
他の作品を探す