それはまるで魔法のように【２】 (ページ7)

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＊今と昔＊ページ7

You side

G49「こんなサイン書いた？」

『書いたからここに残っとんのやろ』

G49「今のサインいる？」

『いらん。』

G49「今と昔のサイン並んでたら何か良くない？」

『よくない』

7「俺のは？」

『もっといりません』

中島さんが書き終わり、はい。と渡されたところで透明テープをサイン部分だけに貼れば完了。ありがとうございます！これでまた１つ思い出の詰まったライフルになりました。とお礼を言う。

『あの…』

私が話し出すと、何？と慎吾と遥輝さん。いや、あなた方２人やなくて中島さんに話しかけたんやけど。しっかり顔、中島さんに向いとったやろ。

『あの、中島さん。間違ってたら、申し訳ないのですが』

会ったこと、ありますよね？と言えば、横の慎吾が新手のナンパや！とうるさいもんだから、服の上から太腿を抓ってやった。

9「たぶん、俺、あんまり記憶にないんですけど」

『じゃあ、その時に一緒に心臓マッサージしてくれた西川さんは遥輝さんで、AED取りに行くのと人工呼吸してくれた拳士さんは杉谷さんで、最後にTシャツ渡したんが中田さん……』

で間違い無いですか？と言えば当事者はうんと頷く。ああ、やっと。やっと、中島卓也さんに会えた。まさかプロ野球選手でこんな形で再開するとは。

9「俺、ずっとお礼が言いたかったんです。」

俺の命を救ってくれて、ありがとうございます。お陰様で元気に野球できてます。と続けた中島さんは泣きそうになりながら、私にお礼を告げた。

『実は私……救命士４年やっていて、CPA患者を回復させたの初めてなんです。』

6「えっ」

今聞いたら、とてつもなく恐ろしい話ですよね。でも、あの日、なぜか持っていた聴診器、お店に置いていた血圧測定器、慎吾にあげる予定やったXLのTシャツ。何でも揃ってて、中島さんは絶対助けられる。って何の確証も無いのに、回復させられる自信があったんです。と言えば、そっか。と隣の鍵谷さん。

『あれから違和感はありませんか？』

9「全然ないと。でも胸のところに小さなアザが残ってしまって。」

『あ、私、あの日時計外さないで胸骨圧迫したから。ごめんなさい』

9「ええの。ええの。お風呂入るとき、着替えるときに鏡とかで見て、あ、俺は生きてるんやな。って実感して毎日を生きられてるけん。むしろ残って良かったばい」

とさわやかな笑顔で言う中島さんは、めちゃくちゃかっこよかった。

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