それはまるで魔法のように【２】 (ページ48)

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＊前日＊ページ48

You side

『明日。ですね……』

くわぁーっと、大きな欠伸をすれば、後ろから翔さんにどつかれる。お前、もう少しやる気出せ。と。やって…今日は非番。仕事が終わってすぐに飛行機に乗っても目的地に到着するのは夕方で。

新千歳空港までお二人にお迎えに来てもらい、そのままタクシーにぶち込まれる。助手席に翔さんが座れば、もう、ど突かれる心配はない。だって、後部座席に優しい優しい卓さんと座るんやもん。

6「A、荷物それだけなん？」

『はい、そうですけれど』

9「文字通りの荷物１つ」

6「女子の旅行ってもっと荷物沢山なんちゃうの」

『邪魔ですもん』

少し大きめのリュックに着替え１セットと下着1セット。あとは化粧道具と携帯の充電器とメガネ。小分けにした洗剤と柔軟剤が有ればコインランドリーで洗い替えでいけますもん。と。

6「俺らの遠征の方が荷物多いやん」

9「ガラガラとバックは絶対ですもんね」

それは私の女子力が低いと仰りたいのですか？と言えば、そういうことやないねん。ただスゴいなって感心しただけや。と前から翔さん。

『あ、北海道着いたこと、上司に連絡していいですか？』

上司。とかAちゃんの口から聞くと社会人なんやなって改めて思うなあ。なんて隣の卓さんがぼやけば、見た目、中学生やもんな。と助手席の翔さん。

『あ、もしもし？隊長？』

上司《もしもし？着いたの？》

『無事に着きましたー、離着陸時めっちゃ怖かったですけど』

上司《無事について何より。事故防止に留意すること。いいね？》

『はーい』

ブチッと切って、また欠伸。昨日も全然寝られなかったからなあ。

9「着くまでまだ１時間以上かかるけん。寝たらよかよ」

6「着いたらリハーサルやるから体力温存しとけや」

『輸送したマリンバとベースとアンプはもう着いてるんですか？』

6「さっき会場の担当者から着いたって電話きたから大丈夫や」

そうですか。ではお言葉に甘えて。とリュックを抱えて寝ようと思ったら、卓さんがこっそり、膝。貸したるけん。ちゃんと寝えや？と。それがイケメン過ぎてきゅんきゅんです。

『翔さん！私、明日以降、卓さんファンに刺される自信しかありません！』

6「何でや」

『卓さんが膝枕してくれます！ほんまこの人、来年こそは、彼氏にしたい選手権、１位に返り咲きますよ。』

では、失礼します。と卓さんの膝に頭を預ける。

『硬い……』

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