それはまるで魔法のように【２】 (ページ12)

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＊お腹すいた＊ページ12

鍵谷 side

『朝から何も食べてなくて、お腹空いてたんです』

とモリモリ食べる隣の女の子は、この場にいる誰よりも小さい体なのに。たくさん食べて大きくなってと言いたいが、この子だって俺らと同じアラサー。

遡ること２０分。楽しくお酒を飲んでいたら、隣から控え目にお腹が鳴る音が聞こえれば、一時停止してまた顔を真っ赤にした女の子。

30「どうしたの？」

と聞けば、小さな声で＂お腹空きました＂と訴えてくる、ちんまい女の子。メニューを渡して、好きなもの頼みな？頭を撫でればパアッと明るくなる。

『慎吾、陽平さんが好きなもん頼んでええって！』

G49「ここにおる人、めっちゃ稼いでるから奢ってもらいー？」

かく言う俺もAよりは稼いでるけどな。とイジワルを言う慎吾。そんなこと言っちゃダメじゃん！というフォローをする前に。

『私、福利厚生のしっかりしてる職場にしか興味ないねん。』

その場にいたメンバーの心にグサーッと刺さるひと言。すいませーん。あのこれと、これと、これください。あ、飲み物、皆さん同じで大丈夫ですか？じゃあ同じの１つずつお願いしまーす。と何事も無かったように注文する。

7「慎吾…お前に向けての言葉が散弾銃並みの威力で周りにも被害きてんねんけど」

9「ひと言の威力半端なく重い」

『もう、深く捉えすぎですよ。男女共同参画社会とは言えど、やっぱり産休も育休も女性の取得率が圧倒的に高いんですよ。いつか私だって子ども欲しいと思ってますし。そう考えたら、福利厚生のしっかりした職場じゃなきゃ、まだまだ女性は社会で生きていけないんですよ』

子どもって言っても、予定どころか彼氏もいませんけどねー。あ、来た、ありがとうございまーす。と店員さんから手際よく飲み物を受け取るAちゃん。

2「考え方が大人だ」

6「俺らみたいにアホみたく野球ばっかしてる人間とは色々ちゃうねんな。」

G49「まぁ仕事辞めるような事が有ったら、俺が貰ったるから安心せ…『あんたは私より安定した収入を得られる様になってから言えや。毎年ふわふわふわふわ行ったり来たり。』…はい、すいません」

慎吾への当たりがめちゃくちゃ強いのは気にしないでおくけど、知らないうちに続々と並べられる料理の量はおかしいでしょ。

30「これ、全部食べられるの？」

『はい！もちろん』

君は男の僕たち以上に逞しくて強い女の子なんだね。

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