#ミダレ+ダッコ+コクハク ページ10
優しくて暖かくて大きい手がボクの体を包んだ。
直後に浮遊感を感じて恥ずかしさとかで固く閉じていた目をゆっくり開けた。
「わっ.....」
見えたのは自分がいつも見てる世界より視点が上がった世界で、その時は一瞬。審神者の腕の中にいることなんて忘れて素直にはしゃいでしまった。
『......ふふっ』
微笑ましいものを見るような目で優しく微笑んだ審神者の声で我に返った。
直後に羞恥が襲ってきて、だけどここは審神者の腕の中だから逃げ場なんかった。
どうしようもなくその場に固まっていると審神者の綺麗な形をした唇が動いて思わずとろけてしまいそうな程の声が発せられた
『....えっと、君の名前教えて貰っていいかな。
ごめんね、今日審神者になったばかりだから全然名前がわからないんだ。』
「_ボクは、乱。
乱藤四郎、です.....!」
反射的に答えた。
緊張と恥ずかしさで普段使わない敬語が出てしまった。似合わないけどそこはご愛嬌で。
『……乱、か。
_______うん、君に似合ってるいい名前だね。』
「.....っ」
_______あぁ、もう。この人は。
なんて罪作りな人なんだろう。
彼はきっとその顔で言った言葉が相手にどんな気持ちを抱かせるかを理解していないのだろう。
お陰様でさっきから心臓がうるさい。
若しかしたら外に聞こえているのかもしれないという程に
そう頭の片隅で思っていたが、想い人から自分のことを褒めてもらえたことに関する喜びが心の中を埋めつくした。
「........すき」
なぜだかこみ上げてくる涙をこらえて主の方を向く。
ボクを抱っこするから、という理由で持たされたこんのすけの前足をギュッと握った直後にその言葉はまさにポロリと口から零れ落ちてきた。
ポロリとこぼれ落ちたにしろ呟いたに近い声。
呟いたに近い声にしろ主はボクを姫抱きにしているのだからこの近距離で聞こえないはずがない。
そんな考えが頭をよぎった。そしてどこか上の空だった状態から自分の言ったことを理解してしまった。
今度こそ言葉が出てこなくて、喉になにか詰まったような錯覚すら覚えて、口をパクパクと動かすしかなかった
ちがう、ちがうの。お願い、引かないで、幻滅しないで、ボクのこと嫌いにならないで、
この気持ちと焦りが痛いほど胸の中を支配して目尻に涙が溜まっていくのを感じた。顔も全身も熱い。
『_...ありがとう』
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きな粉の介 - お…終わり…だと…!?いや、終わりじゃないですよね!?更新待ってますよ!? (2023年3月30日 14時) (レス) @page24 id: 6c6ea7b35a (このIDを非表示/違反報告)
ta0628tm0105(プロフ) - 続きが気になる…続編待ってます! (2020年4月19日 10時) (レス) id: 0ed1a1911f (このIDを非表示/違反報告)
ねっちゅう(プロフ) - え、終わり?!終わっちゃうんですか?!!え、めっちゃ続きが気になるぅ…… (2019年12月17日 17時) (レス) id: 9a7f6c9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
蘭 - 中途半端ナ終わり方をシテいますネ。続きが気になってシマいます。 (2019年8月1日 21時) (レス) id: e71f9e4ab9 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - え、なんで終わりになってるんですか!?続きが気になります… (2019年3月15日 16時) (レス) id: aa7d8d537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつ黒豆 | 作成日時:2018年3月19日 23時