「幼馴染」に弱い ページ13
.
.
カズがシャワーへ向かってから私は放心状態になってたらしく、戻ってきたカズに声をかけられてようやくハッとした。
目を合わさずに「風呂入れば」と一言言うと、そのままカズはタオルで髪をわしゃわしゃと雑に拭く。
A「でも着替え…」
カズ「脱衣所にスウェット置いといたから、それ使って」
A「…ありがとう」
目、合わせてくれないな。
あんな会話したばっかだし、仕方ないか。
それでもちゃんと着替えを用意してくれるあたり、優しいカズらしい。
カズ「俺ソファで寝るから、ベッドで寝なよ」
A「え？いいよ、私がソファで寝る！カズ明日もライブでしょ」
カズ「あのね、俺がお前をソファで寝させるの前提で家に連れてくるわけないでしょ」
ほんとバカだね、って目を合わせてちょっと笑ってくれて
それだけでなんかホッとした。
でも、疲れてるカズをソファで寝させるわけにはいかない。
本当はこんなの良くないんだろうけど、でも…
A「じゃあ…一緒にベッドで寝ない？」
カズ「…は？」
タオルを拭く手をピタッと止めて目を見開いて私を見た。
自分でもこんな提案どうかと思う…けど、カズをソファに寝させるくらいならそっちのほうがいいと思った。
カズ「あのな、いくらなんでもそれは…」
A「幼馴染、なんでしょ？それならなにも問題ないよね。昔はよく一緒に寝てたし」
幼馴染、というワードを出すとカズが口をつぐむ。
カズ「誰にでもそうなわけ？」
A「え？」
カズ「…なんでもない。分かったから、風呂入ってこい。俺先に寝てるし急がなくていいから」
大きくため息をついて、しっしっと手で私を追い払う仕草をする。
A「う、うん。ありがとう！なるべく起こさないようにしてベッド入るから」
カズ「はいはい」
…よかった。
大胆な提案をしてしまったけど、不可抗力というか…
でもさすがのカズもびっくりしてたな。
脱衣所に行くと、カズの言う通りスウェットが綺麗に畳んで置いてあった。
意外と面倒見、いいんだよなあ…。
ゆっくりでいいと言われたものの、なんとなく申し訳なくて急いでシャワーを浴びて、いつのまにか用意されてあったバスタオルで身体を拭く。
スウェットに着替えると、ふわっとカズの匂いがしてドキドキした。
安心するのに、落ち着かないような変な気分になる。
香水をつけないカズからいつもしてる匂いと同じだな。
こんな匂い嗅いで、変態みたい…。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - 続きが気になり一気に読んでしまいました！更新楽しみにしてます (5月21日 20時) (
レス) id: 2cfd32ee74 (このIDを非表示/違反報告)
MILK - 読んでいてとても楽しかったです！これからも頑張ってください！(=^ェ^=) (2023年3月31日 15時) (レス) @page18 id: 6fb80e3aaf (このIDを非表示/違反報告)
あおば(プロフ) - ららなさん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです。ゆっくりな更新になってしまってますが、これからもよろしくお願いします＾＾ (2023年3月20日 13時) (レス) id: f7d7729b51 (このIDを非表示/違反報告)
ららな - とてもおもしろくてキュンキュンしました！続きも楽しみにしています！ (2023年3月16日 0時) (レス) @page15 id: 43dcf108d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アリサ.
| 作成日時：2023年2月21日 15時
