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その夜、五条さんと自宅マンションまで来た。
案の定元彼がマンション下の植え込みの石垣の上に座って待っていた。


『うわ。またいる』


五「何?アイツ?」


五条さんの腕にしがみつきながら近付いて行くと、元彼と目が合った。


元彼「A…誰、その人」


『気安く名前呼ばないでくれない?ってゆーかもう2度と来ないでって言ったよね』


五「へぇー。君が噂の浮気野郎ね」


長身の五条さんに見下ろされて元彼は心なしか身を縮めている気がした。
ビビってるビビってる。


五「初めまして。僕、Aの今の彼氏。もう付き纏うのやめて貰って良い?なんなら自宅と会社に内容証明送って、警察にストーカー禁止命令出してもらうけど?」


元彼「嘘だろ?Aは俺の事まだ好きなんじゃ無いのか?」


『どういう思考回路してるのかわからないけど、お前の事なんか大嫌いだよ』


五「それとも何かなぁ?君、僕に殺されたい?僕の大事な彼女に手を出そうなんて命が幾つあっても足りないよ?」


五条さんの殺気に当てられて元彼は歯をガチガチ鳴らして震えていた。
それでもその場から退かないのだから褒めてあげたい。
いや、逃げたくても腰が抜けてるのかもしれないけど。


『五条さん、さっさと荷物纏めましょう』


五「そうだね」


元彼を放置してマンションに入る。


五「…随分と物が無いね」


『あー…元彼から貰った物とか思い出の物とか全部処分したらこんな感じになりました』


五「うーん…もうこの部屋引き払っちゃおうよ」


『え?』


五「やっぱりずっと僕のマンションに住みな。セキュリティも万全だし。アイツも来ないし」


『…そうですね。わかりました』


その日は下着や服や化粧品類の最低限の物だけを持ってマンションを後にした。
帰る頃には元彼の姿は消えていた。

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作者名:K | 作成日時:2022年3月16日 0時

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