I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

44 恋人っぽい ページ44

翌朝、家を出るとマンションのエントランス前で待つ姿が見えた。



「おはよー！来生ごめん！待ったよね？」

「おはよ。俺もさっき降りてきたところだから」



駆け寄ると謝る私の頭をポンポンと優しく撫でて、先に進んで行った。



なんだろう。

とても恋人っぽい気がする…。



「A？」

「あ、ごめん」



これが浬だったらな、とか考えてしまったが、今は来生がいるんだからそんな事考えるのはよそう。
脳内の考えを掻き消して、来生の隣に並んで歩く。



「なんか、一緒に出勤とか初めてだね」

「そうだなー。Aはいつも早めに行くもんな」

「まぁ、自分の見てる患者さんの容態とか色々気になって…」

「そーゆー真面目なところが好きなんだよな」

「！？」



人がドキッとする言葉もサラリと言い放った来生。
私が驚いて足を止めると、少し先で来生も立ち止まって振り返った。



「こうでも言わないと、俺の事意識してくれないでしょ？」

「だって、来生いつも通りだったから…」



来生と色んなことがあっても、次の日にはいつも通りだから自然と気にしなくなっていっただけで…。



「あのさ、来生…。この間の事だけど…」



折角の二人っきりな訳だし、今が話すチャンスだと思った。

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