I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

34 原因 ページ34

気持ちもまだ落ち着かない中、回診で病室の見回りをしていると、廊下まで巣鴨さんの怒鳴り散らす声が聞こえてきた。
声のする方へ足を進めると、巣鴨さんと巣鴨さんの奥さんが何やら言い争いを始めていた。



「あの、どうされました…っ？」

「先生、俺もう帰るから」

「え、ちょっと困ります…！まだ退院の許可出てないんですから！」

「そうよ！先生の言う通りに…、きゃっ！」



私の側について巣鴨さんを引き止めようとした奥さんを、巣鴨さんは「邪魔なんだよ！」と言ってベッドに突き飛ばした。



「巣鴨さん！いい加減に…」

「うるさい！」

「！！」



巣鴨さんにそう突き飛ばされて後ろにバランスを崩してしまい、転ぶと思っていたらその身体を誰かに受け止められた。
驚いてその人物の顔を見上げると、



「…て、天堂先生」



浬はそっと私の身体から手を離すと、私を庇う様に前に出てくれた。



「巣鴨さん、まだ退院は出来ません」

「もう帰るからな、俺は」

「一つ…！聞いていいですか？」



苛立つ巣鴨さんを制止するように、声を張り上げた浬。



「はぁ？なんだよ」

「毎日飲んでいるものは何かありますか？」

「は？」

「ちょっと失礼します」



浬が何を言いたいのか分からず私も困惑する巣鴨さんの横で浬の行動を見守っていると、浬は巣鴨さんのベッド横の棚からある段ボールを開けて中身を取り出した。



「これ、飲まれてましたね？」



浬が取り出したのは青汁の箱。



「おう…」



どういう意味かさっぱりわからない巣鴨さんは、少し動揺しつつも頷いた。



「あ…」



青汁の箱を見て、私は巣鴨さんの数値が上がらなかった原因がそこでわかった。

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