I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

31 冷たい目 ページ31

「お前ら何して…」

「今日体調良さそうに見えなかったから心配で来ただけだよ」



来生は私を庇う様に浬の前に立ち、訪問の理由を伝えると来生の後ろで座り込んだまま俯く私の頭をポンポンと撫でた。



「じゃあ、俺先に帰るわ。A、返事はいつでもいいから考えといて」

「来生…っ！」



残ってくれると思っていた来生はあっさりと出て行った。
きっと気を利かせてくれたんだと思うけれど、でもこの状況で上手く話し合いなんて出来るのか…、



「…ちゃんと話そうと思って来たんだけど、何？お前、来生の事好きなの？」

「…っ」



まるでトゲがある言葉が私の胸に地味に刺さる。



なんで、そうなるの…？



私が好きなのは、浬なのに…。






「……そうだね。好き、かも」



もうここまで来たらヤケクソだ。



半分自暴自棄になりながら、来生を好きだと嘘をついてみたら、それが浬にスイッチを入れたのか床に押し倒された。
少し肩に痛みを感じて顔を滲ませると、上に跨る浬
はお構いなしに私の顔を自分の方へと任せた。



「俺だけを見ろよ」



その目は冷たく、まるで感情なんてない様に思え背筋が凍りついた。





…初めて浬を怖いと感じたからだ。





近づいてくる浬の顔に我に返り、



「〜っ、やめてっ！」



腕も足も使って思いっきり浬を突き飛ばしたせいか、後ろのソファーに浬の身体が鈍い音を立てて当たった。



「…浬…ごめ…」



黙ったまま俯いていた浬に声をかけると、彼は突然立ち上がり無言なまま家から足早に出て行った。



「…っ」



力強く締めたのかドアの音がバタンと煩く響き渡り、その瞬間緊張の糸が取れた私はその場で子供の様に泣きじゃくってしまった。

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